2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムの安定性を維持するDNA修復酵素,FEN1-PCNA複合体の構造研究
Project/Area Number |
17770092
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
北野 健 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (40346309)
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Keywords | タンパク質 / X線結晶構造解析 / FEN1 / PCNA / ウェルナー症候群 / WRN / 早老症 / ラディキシン |
Research Abstract |
FEN1(flap endonuclease-1)は,二本鎖DNAから突出した一本鎖flap DNAを切断する構造特異的エンドヌクレアーゼで,DNA複製の際に残るRNAプライマーや,塩基除去修復で損傷塩基を含む一本鎖DNAを除去する,ゲノムの複製と維持に重要なタンパク質である。本研究ではPCNA(増殖細胞核抗原)と複合体形成したFEN1の反応メカニズムを解明することを目的に,X線結晶構造解析法による研究をおこなった。 ウェルナー症候群は若い年齢で老化が急速に進行する早老症のひとつであり,ウェルナータンパク質(WRN)の機能欠損によって引き起こされる難病である。WRNはゲノムDNAの安定性維持を通して,細胞の抗老化および抗ガン化に重要な役割を果たしている。WRNはC末にHRDC(helicase-and-ribonuclease D-C-terminal)ドメインを有することが知られていたが,その構造と機能は良く分かっていなかった。本研究ではX線結晶解析法により,ヒトWRN HRDCドメインの立体構造をはじめて決定した。WRNは単細胞生物のホモログ(RecQタンパク質)に比して,より大きなドメインに進化したHRDCを有していることが明らかとなり,これを独立したモジュールとして他のタンパク質群との相互作用に利用している可能性が示された。 ERMタンパク質は、細胞膜上の接着分子とアクチンフィラメントを連結する架橋タンパク質で,N末端に約300残基からなるFERMドメインを持つ。今回,ラディキシンFERMドメインの二量体結晶構造を決定した。その結果,一方の分子の接着分子結合部位が他方の分子のC末端領域によってマスキングされた構造が得られた。
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