2005 Fiscal Year Annual Research Report
血清由来ヒアルロン酸結合タンパク質(SHAP)転移酵素の精製と同定
Project/Area Number |
17770095
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
卓 麗聖 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助手 (00399031)
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Keywords | ヒアルロン酸 / 細胞外マトリックス / インター-α-トリプトシンインヒビター / SHAP / 転移酵素 / 精製 / 肝癌細胞HLF / 炎症 |
Research Abstract |
ヒアルロン酸は、細胞外マトリックスの成分として、細胞の増殖と移動、組織の形成と修復に深く関与している。申請者が所属する研究所では、ヒアルロン酸に共有結合するユニークなタンパク質分子(血清タンパク質インター-α-トリプシンインヒビターの長鎖サブユニットで、SHAPと呼ぶ)を発現し、さらにその分子複合体は炎症などにおけるヒアルロン酸の機能の分子実体であることを明らかにした。その複合体の形成反応は、二価金属イオン要求性酵素因子に触媒されるSHAPのエステル結合転移反応である。本研究は、その酵素因子の精製と同定を目的とする。 平成17年度の研究は予定通り進行していた。ヒト肝癌細胞HLFは酵素因子を分泌することが以前の細胞株スクリーニング実験で分かった。無血清培地(Cosmedium001,コスモ社)で3日間培養した培養上精を精製材料とした。培養上精をヘパリンカラムを通し、0.2〜0.3Mの食塩で活性ピークを回収した。次は、亜鉛キレートカラムに載せ、5〜10mMのイミダゾールで活性ピークを回収した。その試料をさらにゲル濾過カラムで分画した。これらのカラム操作によって、ターゲット因子は約千倍に精製された。ゲル濾過カラムとSDS-PAGEで測定した分子量はそれぞれ100kDaと35kDaであった。等電点電気泳動で測定した等電点は4.3であった。上訴の精製画分を二次元電気泳動で展開し、酵素因子の分子量と等電点の情報を基に、候補タンパク質スポットを切り出し、ペプチト配列決定と質量分析法でタンパク質を同定する。このように、Factor H related-protein 1及びchitinase 3 like 1が同定されたが、細胞へのcDNAトランスフェクションの実験では活性の分泌が確認されなかったので、ターゲト因子ではないと判断した。現在、ほかのスポットの同定と活性確認を継続中である。
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