2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770098
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
林田 稔 独立行政法人理化学研究所, 三木生物超分子結晶学研究室, 基礎科学特別研究員 (10392078)
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Keywords | 構造生物学 / 超分子複合体 / RNA / スプライシング / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
スプライソソームは核内でpre-mRNAからイントロンを正確に切り出し、エキソンを連結して成熟したmRNAを生じるスプライシング反応を担う。スプライソソームは5種類のRNAと多数のタンパク質からなる核酸-タンパク質超分子複合体である。スプライシングはこれらのRNA-タンパク質複合体(snRNP)といくつかのnon-snRNPタンパク質の会合と解離によって進む。そのため、スプライソソームの構造生物学的研究は、その構造構築の複雑さと動的性質が大きいため非常に困難なものとなっている。本研究では、スプライシング反応において中心的な役割を果たしているU2 snRNP構成タンパク質を中心として、X線結晶構造解析の手法を用いた構造生物学的研究による原子レベルでのスプライシング機構の解明を目的とする。これまでにヒト由来U2 snRNP構成タンパク質の大腸菌等を用いて発現系の構築を行ってきた。現在、可溶性に得られたタンパク質を精製し結晶化を行っている。 一方、スプライシングの過程で生じる投げ縄構造のイントロンは、RNA debranching酵素(DBR)によって、2'-5'リン酸ジエステル結合を特異的に加水分解され、線状化したRNAになる。出芽酵母におけるdbr遺伝子の欠損は、投げ縄状イントロンの蓄積を生じ、その発育に影響を及ぼす。投げ縄状のイントロンから線状のイントロンへの変換は、イントロンを分解する律速段階であり、線状化されたイントロンはRNase IIIなどのexonucleaseによって急速に分解される。これらのことからDBRはイントロンRNAの代謝に必須であると考えられている。今年度はDBRの基質特異性および反応機構を構造生物学的に明らかにすることを目的とし、出芽酵母由来DBRの大腸菌による大量発現系の構築を行った。現在、種々のクロマトグラフィーによる精製を行っている。
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