2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖金属ナノ微粒子を用いた生きた細胞内での酵素反応のリアルタイムモニタリング
Project/Area Number |
17770103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長堀 紀子 北海道大学, 大学院先端生命科学研究院, 特任助手 (90372268)
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Keywords | 量子ドット / 糖鎖 / 可視化 / MALDI-TOF MS / 糖転移酵素 |
Research Abstract |
水溶性かつ安定な「糖鎖-量子ドット複合体」を得るために、量子ドット結合性のチオール基、自己組織化能を持つアルキル鎖、水溶性のエチレングリコールリンカー、糖鎖捕捉官能基であるヒドラジド基という4つの機能部位をもつ化合物を設計・合成した。ヒドラジド基とアルデヒド基(遊離オリゴ糖還元末端)間の化学選択的反応によって、糖鎖誘導体へと変換した。その後、還元剤存在下で量子ドットと混合し、チオール基と金属表面との共有結合形成によって糖鎖を提示した量子ドットを得た。量子ドットをMALDI-TOF MS測定に供すると、レーザー照射によってチオール-金属間の結合が切断されてイオン化するため、量子ドット表面に提示された糖鎖化合物を直接検出できる。キトビオースを提示した量子ドットを作製し、さらにガラクトース転移酵素によりガラクトースを導入することでフコース転移酵素のアクセプター基質となる糖鎖構造を構築した。その後、用いる糖鎖の種類によって量子ドットの安定性が異なる現象が見られたため、リンカーの改良を行った。すなわち、一分子中に2つのチオール基を持つ化合物を利用することで、金属表面へのチオール分子の結合をより強固にすることをねらった。新リンカーを用いて量子ドットの安定性評価を行ったところ、様々な糖鎖に対してより安定な量子ドットを得ることができた。さらに、糖鎖-量子ドット上未反応のヒドラジド基を、スフィンゴミエリンのオゾン分解によって生成したアルデヒド体を反応させてキャッピングを行うことで、量子ドットの安定性が増した。
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