2005 Fiscal Year Annual Research Report
子宮組織におけるマトリックスメタロプロテアーゼの発現および機能解析
Project/Area Number |
17770104
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大西 英理子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 研究支援員 (90396284)
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Keywords | 酵素 / 発現調節 / 発生・分化 / 病理学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
細胞外マトリックス(ECM)代謝の主要酵素として知られるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)ファミリーの中で、申請者が単離したMMP-23は、他のMMP分子と比べ構造的特徴が大きく異なっている。このことは、MMP-23がMMP分子として新たな機能を有する可能性を示唆しているが、その生理的な基質分子に関する報告はこれまでにない。そこで本研究では、MMP-23の内在性基質の同定を目的とし、以下の実験を試みた。MMP-23に特異的な配列を有するC末端領域、活性型触媒領域、および活性中心の必須アミノ酸配列に変異を加えた不活性型触媒領域の3種のベイトを構築し、Yeast Two-Hybrid法によりMMP-23と相互作用する因子を探索した。この結果、MMP-23がフィブリン、および潜在型TGF-β結合タンパク質(LTBP)と相互作用することを見いだした。 フィブリンはECM分子の一つであり、雌性生殖器官ではフィブリン1Cと1Dが主に発現している。この両者の量的バランスが器官形成や細胞の分化や癌化と強く結びついており、ある種の酵素がその調節に関与することが予測されるが、その実態は不明である。また、LTBPはそれ自身がECMと結合することにより成熟型TGB-βを潜在型に留めている。TGB-βは細胞増殖の抑制、およびECMの産生促進を介して様々な生命現象と深く関わっているが、その生理活性にはLTBPを介した複合体から成熟型TGB-βを遊離することが必須である。この過程にプラスミンなどのプロテアーゼが関与する可能性が示唆されるが、未だ十分な理解には至っていない。 本研究の成果は、これらの過程にMMP-23が関与することを予測させるものであり、今後さらなる解析を行い、フィブリン分子を介した細胞外環境の制御メカニズム、およびTGF-β活性化機構にMMP-23が機能し得るのかを検討していく。
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Research Products
(2 results)