2005 Fiscal Year Annual Research Report
CDK阻害蛋白質p27^<Kip1>の新規ユビキチンリガーゼの細胞癌化への関与
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17770110
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
服部 隆行 浜松医科大学, 医学部, COE研究員 (50377751)
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / CDK阻害蛋白質 / p27^<Kipl> / 細胞周期 / 細胞癌化 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、我々が同定したp27^<Kip1>の新規ユビキチンリガーゼKNAF1のp27^<Kip1>の細胞内発現量調節における役割を明らかにすることである。本年度は以下に記す研究成果を得た。 1.KNAF1はp27^<Kip1>の安定性を制御するユビキチンリガーゼである (1)細胞内因性KNAF1とp27^<Kip1>の結合が確認できた。また、KNAF1はin vivo、in vitroいずれにおいてもp27^<Kip1>をユビキチン化する活性が示された。 (2)KNAF1をノックダウン細胞ではp27^<Kip1>蛋白質が蓄積し、またその半減期の延長が見られ、p27^<Kip1>蛋白質が安定化することが示された。また、KNAF1のこの活性は他のp27^<Kip1>のユビキチンリガーゼであるSkp2やKPCに非依存的であることが二重ノックダウンの実験で示された。 2.p27^<Kip1>のN末端リン酸化はKNAF1によるユビキチン化に関与しない KNAF1はp27^<Kip1>のN末端26アミノ酸をbaitにした酵母two-hybrd法にて単離されたことを考慮して、p27^<Kip1>S10A変異体、およびΔN26欠失体(N末端26アミノ酸欠失)発現プラスミドを作製、細胞内でのKNAF1によるユビキチン化を検証した。ΔN26欠失体はユビキチン化されなかったが、S10A変異のユビキチン化への影響は見られなかったことから、p27^<Kip1>のユビキチン化にそのN末端が必要であるが、Ser10のリン酸化には無関係と考えられた。一方、p27^<Kip1>のThr1のリン酸化はSkp2によるユビキチン化に必要であることが知られているが、KNAF1によるユキチン化には必要でないことが示された。 3。KNAF1はp27^<Kip1>の分解を介して細胞周期の進行を制御する (1)KNAF1はG1後期からS期にかけてまず核で発現が誘導され、それに遅れて細胞質での発現が誘導されることが分かった。 (2)KNAF1をノックダウンするとS期の細胞の割合が減少すること、また核と細胞質両方のp27^<Kip1>が蓄積することが明らかとなった。 以上より、KNAF1はG1-S移行期に核、および細胞質のp27^<Kip1>をユビキチン化依存的に分解に導くことにより、細胞周期進行を正に制御するユビキチンリガーゼであることが示唆された。
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