2005 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量ヒアルロン酸による癌細胞の浸潤・転移制御機構
Project/Area Number |
17770112
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 稔幸 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20311756)
|
Keywords | 生体分子 / 癌 / 糖鎖 |
Research Abstract |
癌細胞の浸潤・転移の制御機構には不明な点が多く、癌進展を防ぐ効果的な手段の開発が望まれている。私たちは、癌細胞接着分子CD44が、腫瘍細胞外マトリックスの主要構成成分であるヒアルロン酸の小断片と相互作用することにより、切断を受けることを見出した。さらに、そのシグナル伝達分子と切断酵素を同定し、癌細胞の運動性亢進への寄与を明らかにした。平成17年度は、これらの独自の知見を基に、腫瘍内での低分子量ヒアルロン酸の生成機序と、それによる癌細胞の運動性亢進の分子機構について、次の研究をおこなった。 1.腫瘍組織における低分子量ヒアルロン酸生成機序の解明 エンザイムイムノアッセイ様測定により、癌細胞の培養上清に、ヒアルロン酸断片化活性があることを確認した。また、クロマトグラフィーにより、癌細胞の培養上清に実際に低分子量ヒアルロン酸が存在することを明らかにした。さらに、癌細胞培養上清の低分子量ヒアルロン酸が、癌細胞に対して、CD44切断および細胞運動を亢進する作用を有することを見出した。 2.CD44の細胞外領域切断による癌細胞の浸潤性亢進の分子機構 CD44切断誘導が癌細胞の浸潤性を促進する分子機構を明らかにするため、低分子量ヒアルロン酸を用いたボイデン・チャンバー型細胞浸潤能検定をおこなった。その結果、上述の細胞運動がCD44により媒介されていることを明らかにした。血管内皮細胞層への癌細胞浸潤についても、CD44の関与を検討した。
|
Research Products
(2 results)