2005 Fiscal Year Annual Research Report
エチレンセンサーたんぱく質ETR1における情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
17770121
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
菊地 晶裕 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 研究員 (90321752)
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Keywords | 情報伝達タンパク質 / 2成分情報伝達系 / ETR1 / 植物ホルモン / エチレン |
Research Abstract |
近年、植物ホルモン受容体に関する分子レベルでの研究が進んできた。植物ホルモンの中で最も単純な分子構造を持つエチレンに関する研究は特に進んでおり、エチレン受容体ETR1タンパク質が2成分情報伝達系に係わる因子であることも既に知られている。しかしながら、ETR1が高等植物由来の膜タンパク質であることから大量発現や精製が困難であり、分子レベルでエチレン濃度の情報伝達機構を解明するには至っていない。本研究ではETR1を精製タンパク質として得ることを目的として、シロイヌナズナ由来の培養細胞T87によるETR1-6xHis-tag融合タンパク質高発現系の培養条件を検討した。 種々の条件で培養した細胞から膜画分を得て、抗His-tag抗体によるウェスタンブロットでETR1の発現を確認し、各種の界面活性剤で可溶化した。その後、metal affinityカラムを利用してタンパク質の精製を試みたが、いずれの界面活性剤を用いた場合でも精製ETR1を検出することができなかった。発現レベルが低いことや、分子量が比較的大きくカラムに吸着し難いことが原因と考えられるが、界面活性剤の種類だけではなく、可溶化時の濃度など、さらなる検討が必要であると思われる。 また、平成17年度は、酵母を用いたETR1の発現系構築にも着手した。これまでに酵母発現系を用いたETR1の機能解析が報告されているが、構造解析に供することが可能な量のETR1タンパク質の単離・精製はなされていない。本研究では、確立された大量発現系用メタノール資化性酵母P.pastorisを宿主として用いた。これにより、in vivoと同様の膜配向性のあるETR1タンパク質を高レベルで発現する組み換え株が得られると期待している。
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