2005 Fiscal Year Annual Research Report
ビブリオ菌べん毛モーターにおける固定子のトルク産生に関する解析
Project/Area Number |
17770128
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
薬師 寿治 信州大学, 農学部, 助教授 (30324388)
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Keywords | 生体エネルギー変換 / バクテリアべん毛モーター / Na^+共役 / 海洋ビブリオ菌 / 大腸菌Na^+べん毛モーター / 回転子-固定子間相互作用 / 膜蛋白質 / 荷電アミノ酸残基 |
Research Abstract |
細菌のべん毛モーターは、膜を介したイオンの電気化学ポテンシャル差をエネルギー源とし、H^+(大腸菌やサルモネラ菌のべん毛)またはNa^+(ビブリオ菌の極べん毛や好アルカリ性枯草菌のべん毛)の流入を回転運動に変換する分子機械である。べん毛モーターの回転子-固定子間の相互作用を理解することが回転機構の解明に繋がると期待できる。べん毛モーターの回転機構の解析には、回転をNa^+濃度や阻害剤で制御できるNa^+共役型が有用である。以前、大腸菌のH^+モーターで、回転子と固定子の荷電残基が重要であることが提唱されていた。ところが最近、ビブリオ菌のNa^+を用いて、その作動モデルと矛盾する結果を得た。回転子と固定子の荷電残基の重要性はバクテリアべん毛モーターに普遍的なのであろうか?最近、ビブリオ菌の因子を大腸菌に導入することで、大腸菌のべん毛モーターをNa^+共役型に変換することに成功したので、本研究では、大腸菌で機能するNa^+共役型モーターを用いて荷電残基の重要性を評価した。 固定子蛋白質PomAの細胞質領域や回転子蛋白質FliGに存在する保存された荷電残基について、電荷を中性化あるいは反転させるような変異を導入したところ、反転させたものの中に大腸菌のNa^+共役型モーターにおいて機能を失う変異体をいくつか見いだした。機能を保持していた中性化PomAと中性化FliGを組み合わせたところ、機能を失うような組み合わせがあり、負の相乗効果がみられた。また、機能を失ったPomA変異体のいくつかは、回転子蛋白質FliGの変異体によって、弱いながらも機能を回復させるものがあった。大腸菌のNa^+共役型モーターを用いた荷電残基の解析から、荷電アミノ酸残基の重要性ならびにPomA-FliG間の相互作用を再認識することができた。これから、これらの荷電アミノ酸残基がどのように回転に関わっているのかを解析していく必要がある。
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Research Products
(4 results)