2006 Fiscal Year Annual Research Report
ビブリオ菌べん毛モーターにおける固定子のトルク産生に関する解析
Project/Area Number |
17770128
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
薬師 寿治 信州大学, 農学部, 助教授 (30324388)
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Keywords | 生体エネルギー変換 / バクテリアべん毛モーター / 回転子-固定子間相互作用 / ジスルフィド結合 / 膜蛋白質 / 超分子複合体 / ナノバイオロジー |
Research Abstract |
細菌のべん毛モーターは、膜を介したイオンの電気化学ポテンシャル差をエネルギー源とし、特定のイオンの流入を回転運動に変換する分子機械である。べん毛モーターの回転子-固定子間の相互作用を理解することが回転機構の解明に繋がると期待できる。これまでに、べん毛モーターの回転を試験管内で再構成した研究成果は報告されていない。その理由には、べん毛モーターの単離・精製過程に回転子と固定子が解離してしまう事などが挙げられる。よって、回転子と固定子を人為的に結合することによって、回転子と固定子の解離を抑えることができると考えた。本研究では、物理的に回転子と固定子を結合するための方法を確立するために、べん毛モーターの軸受け構造に着目し、軸受け蛋白質の機能解析を行った。この軸受け構造は回転子構造と共に精製されるので、固定子を結合させるには適切な因子であると考えられる。 大腸菌のべん毛モーターの軸受け因子、Pリングを構成するFlgIは、分子内ジスルフィド結合を形成する。このジスルフィド結合はリング集合に必須であると提唱されていた。本研究では、FlgIのCys残基をAla残基に置換したCys欠失FlgIがリング形成能を保持していることを見い出した。一過的発現誘導実験から、このCys欠失FlgIは野生型FlgIに比べ分解されやすくなっていることを確認した。つまりFlgIで形成されるジスルフィド結合はリング集合ではなく、FlgIの安定性に関与すると考えられる。軸受け蛋白質と固定子蛋白質に部位指定的にCys残基を導入することによって、軸受けと固定子を結合させることを計画しているが、この計画に向けた基礎データを得ることができた。
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