2006 Fiscal Year Annual Research Report
光解除型RhoおよびRho活性指示薬の,作製と生細胞への応用
Project/Area Number |
17770135
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮内 崇行 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能探索技術開発チーム, リサーチアソシエイト (00392142)
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Keywords | 細胞内シグナル / small GTPase / 蛍光蛋白質 / Rho / Rac / Cdc42 / Ras / 多量体化 |
Research Abstract |
本研究は,Rho GTPasesの機能解析をためのプローブ作製を第一の目的としている。昨年度の研究において私は,蛍光蛋白質の特性を利用したRho GTPasesの高感度な活性インディケータを開発した。 近年活発な探索が行われている蛍光蛋白質の多くは,自然界においてもまた細胞内に発現させても,2量体または4量体といった多量体を形成する場合が多い。この多量体化は生物学研究での使用に障害となると考えられており,一般的に単量体化する変異を導入した上で生物学の実験に使用される。ところがこの単量体化という「改良」を施すと,その蛍光蛋白質の蛍光を発するという性能(たとえばモル吸光係数や量子収率)が元に較べて低下してしまう場合がほとんどである。ここに私は,むしろ多量体化を利用した方が,効率よく細胞内シグナルを検出できる場合があることを見いだした。多量体化によって,蛋白質複合体の解離が見かけ上遅くなり,結果検出感度が高くなるのである。この方法を用いることで,内在性のRho, Rac, Cdc42,そしてRasの活性を,2種類以上同時に可視化することに成功した。開発した手法は,様々なシグナル蛋白質のイメージングに有効であることを確認した。 今年度は,この開発したプローブが,実際にsmall GTPasesの活性を捉えることを確認し,そして,Rhoの機能解析に応用した。現在,Rhoの細胞分裂における局在化と活性化の機構,特にRhoAの動態を明らかにすることが求められている。開発したプローブは,細胞分裂時のRhoAの活性化不活性化を詳細に可視化出来た。 さらに,現在までRho研究の障害となっていた「蛍光蛋白質を融合した場合にRhoAは内在性の細胞内局在を反映しない」という問題を解決し,細胞分裂時におけるRhoの局在化を生細胞で観察することに成功した。
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