2005 Fiscal Year Annual Research Report
ERK活性化時間をモニターする細胞内分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
17770142
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花房 洋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00345844)
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Keywords | ERK MAPキナーゼ / Ras / ネガティブフィードバック / Sprouty / ANR / BF1 / XRassf6 / MHB |
Research Abstract |
我々はERK活性化時間をモニターする分子メカニズムの役者を同定するため、アフリカツメガエル初期胚を用い、マイクロアレイを使った網羅的遺伝子探索とその機能解析を行った。その結果、候補遺伝子群がされた。その一つXPassf6はRas結合ドメインを持つタンパク質で、神経胚期にanterior-neural ridge (ANR)と呼ばれる領域で特異的に発現がみられた。ANRはmidbrain-hindbrain boundary (MHB)と呼ばれる領域とともに、初期脳の分化に重要な役割を果たしている。ANRは初期前脳のパターニングにおいて局所的なオーガナイザーセンターとして機能しており、このオーガナイザー活性にはFGF8/ERK経路が必須な役割を果たしている事が知られている。XRassf6に対するMorpholino anti-sense oligonucleotide (MO)を用いて、内在性XRassf6タンパク質のknockdownを試みたところ、前脳特異的に発現する遺伝子BF1の発現が顕著に減少していた。このことから、XRassf6が前脳の分化に重要である事が示唆された。またXRassf6はRas結合ドメインを持つ事から、ANRにおいてERK経路の活性化を制御している可能性が考えられた。実際XRassf6は活性型Rasと特異的に結合することでERKの活性化を正に制御していることが明らかとなった。また培養細胞を用いた実験から、XRassf6はRasと結合することによってERKの活性化時間を制御する可能性を示唆するデータをえている。現在、ERK活性化時間を制御する遺伝子群の分子メカニズム解明をとおして、細胞がどのようERKの活性化時間を認識しているのか明らかにできないか模索している。また今後はERK活性化時間を制御するもうひとつの重要な分子Sproutyの解析も進め、XRassf6、Ras、xSprouty2がどのようにERK経路を制御し、細胞の運命決定に関与しているのか検討していく。
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