2006 Fiscal Year Annual Research Report
高等動物におけるJab1を介した細胞増殖制御に関する研究
Project/Area Number |
17770143
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
友田 紀一郎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (50362843)
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Keywords | Jab1 / COP9シグナロソーム / Cdkインヒビター / 蛋白質分解 / 細胞増殖 / 細胞周期 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
Jab1は高等動物細胞の細胞増殖を制御する。細胞内では分子量が約450kDaのCOP9シグナロソーム複合体と分子量が約120kDaの複合体(JACS)を形成する。本研究課題では、Jab1が形成する複合体に注目し、Jab1による細胞増殖制御機構の解析を行った。 TAP(tandem affinity purification)タグを付加したJab1が過剰発現する動物細胞株を樹立し、このタグを用いてJab1複合体の精製、アミノ酸配列の決定を行った。精製された分子には既知のJab1結合蛋白質(CSNなど)が複数含まれた。この結果から実験系が妥当であると考え、これまでJab1との結合が報告されていない分子について抗体を作製し、解析を行い、分子XがCOP9シグナロソーム複合体と動物細胞内で結合することを明らかにした。RNA干渉法を用いて、分子Xの発現量を抑制すると、Jab1の発現量が減少した。以上より、この分子はJab1の発現量を制御する可能性がある。 Jab1が恒常的に発現するJab1トランスジェニックマウス(TGマウス)を作製したところ、一部の臓器(骨髄や脾臓)ではJACSの形成量が増加した。このマウスは生後6ヶ月以降、骨髄増殖性疾患を発症し、骨髄、脾臓中の造血幹細胞の割合が増加した。一方、Jab1遺伝子座の一つを欠損したJab1ヘテロマウス(HTマウス)ではJACSの形成量が減少した。このマウスは野生型のマウスに比べ、造血幹細胞の割合が減少し、造血能力が低下した。これらの分子機構を解析したところ、Cdkインヒビターの発現量がTGマウスでは低く、HTマウスでは高いことが分かった。以上のことは、Jab1が幹細胞の制御に関わり、その制御異常が疾患を発症させることを示している。
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