2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖質応答領域結合タンパク質による糖質および脂質代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
17770145
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
椛島 力 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (20274673)
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Keywords | 転写因子 / 糖質代謝 / 脂質代謝 / DNA結合タンパク質 / リン酸化 / 脱リン酸化 / タンパク質間相互作用 / 糖質応答領域結合タンパク質 / 分子生物学 |
Research Abstract |
多くの糖質代謝に関与する酵素遺伝子の上流には、糖質応答領域(Carbohydrate response element ; ChRE)と呼ばれる配列が存在し、これにより、酵素遺伝子の転写は調節されている。ChRE binding protein(ChREBP)は、L-型ピルビン酸キナーゼ(L-PK)のChREへの結合能を基に見い出された糖質代謝に関与する転写因子である。本転写因子は、飼料中のグルコース濃度や絶食により、そのDNA結合能が変化すること、また、精神遅滞などの症状を有する遺伝性疾患のWilliams-Beuren症候群との関連性も報告されており、最近では、脂質代謝酵素の転写調節にも関与することが明らかにされている。ChREBPには、3カ所のcAMP依存性プロテインキナーゼA(PKA)によるリン酸化部位と1カ所のAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)によるリン酸化部位が存在しており、申請者は、cAMPやグルコースのシグナルにより、これらがリン酸化/脱リン酸化されることを見い出し、これが本転写因子の核内移行やDNA結合能を調節していることを報告した。また、脂肪酸によるLPK遺伝子の転写の阻害が、AMPKによるChREBPのリン酸化によるものであることを明らかにした。ChREBPは、Mlxと呼ばれる転写因子と複合体を形成して、転写調節を行っていることが報告されているが、変異タンパク質を用いた実験から、PKAリン酸化部位はMlxとの複合体形成には直接には関係していないことを明らかにした。また同様に変異タンパク質による実験から、ChREBPのGlu671とArg675がDNA結合に重要であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)