2005 Fiscal Year Annual Research Report
反復DNAのクロマチン構築に関与するRNA小分子の研究
Project/Area Number |
17770149
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
石井 浩二郎 久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (40360276)
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Keywords | 分裂酵母 / セントロメア / RNA干渉 / siRNA / ノザンブロット |
Research Abstract |
分裂酵母ではセントロメアヘテロクロマチンを構成する反復DNA領域からsiRNAが産出されているが、その詳細な分布は不明であった。そこで、まずはノザンブロットの手法を改良し、再現性よく確実に小分子RNAを検出する手法を開発・完成させた。その方法を用いて、セントロメア反復配列ユニット中のどの部分がsiRNAに変換されているか詳細なマッピングを行った。その結果、2種類の反復ユニット中のそれぞれ固有な2kb程度の領域からsiRNAは産み出されていることが判明した。その領域の配列比較の結果、反復ユニット全般には371bpの配列が共通して存在していることを発見し、siRNA regulatory element (SIRE)と名付けた。SIREはセントロメア以外のヘテロクロマチン領域のDNA配列にも見出すことのできる配列であった。SIREはRNAとして機能している可能性が高く、RNAiの変異株で蓄積が見られるセントロメア由来のsiRNA前駆体分子には一様にSIREが含まれていることを明らかにした。さらにSIREを含む人為的な転写産物は、分裂酵母細胞内においてsiRNAに代謝されることを示した。そのようなsiRNA代謝はSIREの上流部分に限定され、SIREがRNAを鋳型としたRNA逆転写産物の産生に正に関わっていることを示唆している。しかしながらSIREに依存した経路で産み出された異所的なsiRNAは、高等細胞で見られる通常のsiRNAのような転写後遺伝子抑制能を全く示さず、RNA干渉ではなくヘテロクロマチンによる遺伝子転写抑制を目的とした分裂酵母でのRNA代謝経路の分子基盤が明らかとなった。他種生物でも同様の経路が存在する可能性について検討の準備を進めている。
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