2005 Fiscal Year Annual Research Report
GCN経路とTOR経路を結ぶ分子のゲノムワイドスクリーニング
Project/Area Number |
17770154
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 浩行 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 産学官連携研究員 (40376603)
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Keywords | GCN経路 / TOR経路 / ゲノムワイドスクリーニング / シグナル伝達 |
Research Abstract |
研究代表者は酵母アミノ酸飢餓応答経路であるGCN経路と、別の栄養感知経路であるTOR経路の解析を行ってきた。そしてTOR経路の特異的阻害剤であるラパマイシンがGC経路において中心的役割を担うGCN2を活性化し、eIF2αのリン酸化を介してGCN4 mRNAの翻訳を誘導することを見出し、TOR経路とGCN経路のクロストークを明らかにした。そこで今年度はGCN経路とTOR経路を結ぶ詳細な分子機構の解明を目標に、GCN45'-UTRに1acZ遺伝子を繋げた翻訳レポーターを非必須遺伝子破壊株コレクションの個々の株に導入し、ラパマイシンによる翻訳誘導が野生株と比して減弱する株の網羅的検索を行った。その結果以下の進捗を得た。 (1)96穴プレートを用いた簡便で高効率な形質転換法、ならびにBiomek FXを用いた半自動的なレポーター活性測定法を考案し、ハイスループットな一連の測定系を構築した。 (2)上記の方法により非必須遺伝子破壊株コレクションのGCN4 mRNAの翻訳誘導をモニターし、123株において有意な誘導の低下が観察された。この中には予め翻訳誘導されないと予想された破壊株が全て含まれていた(GCN経路に必須であるgcn1,gcn3,gcn20、ラパマイシンによるTOR経路阻害に必須であるfpr1)。これは本研究手法の有効性を如実に示している。次にこれらの翻訳誘導の低下がeIF2αのリン酸化依存的であるかどうかを確認した。その結果6株(gcn1,gcn20,fpr1は除く)において、ラパマイシンによるeIF2αのリン酸化の誘導が観察されなかった。更にこの内の3株は目的の株、つまりアミノ酸飢餓誘導によるGCN4 mRNAの翻訳誘導ならびにeIF2αのリン酸化の応答は正常であるがラパマイシンによる応答のみが障害された株であった。 現在、これらの株についての詳細な解析を行っている。
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