2006 Fiscal Year Annual Research Report
Aktによる神経幹細胞の分化と運動性の制御機構の解析
Project/Area Number |
17770155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増山 典久 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (60313227)
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Keywords | 神経幹細胞 / 細胞増殖 / 細胞運動 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
これまでにPDK1-Akt経路が未分化神経系前駆細胞がニューロンへと分化する際に重要な役割を担うことを明らかにしている。PDK1のノックアウトでは形成されるneurosphereの数が顕著に減少した。また分化条件で培養したところ、ニューロン分化の割合が減少した。さらにニューロンの各サブタイプで分化能に差があるかどうか検討したところ、GABA作動性のニューロンへの分化が顕著に減少していた。転写因子であるMash1がGABA作動性のニューロンの分化に重要であることから、Mash1の転写活性にAkt経路が影響を及ぼす可能性について検討したところ、活性型のAktによつてMash1の転写活性が増強された。以上の結果からPDK1-Akt経路は神経幹細胞の増殖とニユーロンへの分化に関与し、分化に関しては特にMash1の転写活性の調節を介したGABA作動性ニユーロンへの分化制御の機構が存在することが示唆された。 またPDK1のノックアウトでは分化したニューロンの大脳皮質内での細胞運動の異常が観察された。脳室帯で増殖した神経幹細胞がニューロンに分化する際には、細胞増殖の停止とともに、分化に伴う細胞の性質の転換や、大脳新皮質内の細胞運動の開始が協調的に起こらなければならない。細胞周期と細胞運動の制御に関わる分子の候補として、Cdk阻害因子であるp27とp57の機能について検討を行ったところ、P27あるいはP57をRNAiによってノックダウンすることにより、大脳皮質内での放射状の細胞運動の遅延が観察された。したがって、p27もしくはp57が、細胞周期と細胞運動の両方の制御に関わる可能性が示唆された。P27はAktのターゲットであることが報告されており、P27を介したAktによるニューロン移動の制御の可能性について今後検討を行いたい。
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Research Products
(2 results)