2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゴルジ体膜におけるリン脂質の配向性と制御タンパク質の解析
Project/Area Number |
17770157
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲留 弘乃 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (30378872)
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Keywords | ゴルジ体サブコンパートメント / リン脂質非対称性 / リン脂質結合プローブ |
Research Abstract |
生体膜は脂質分子の自己会合により形成される脂質二重層を基本構造とするが、それら脂質分子の種類は一つの細胞内においてもオルガネラごとに異なり、また同じ膜系においても二重層の裏表で異なっている。このリン脂質の非対称な分布は小胞体においては未発達であると考えられているが、細胞内小胞輸送により脂質が形質膜に運ばれる間には厳密な制御を受けて形成されている。このことから、リン脂質非対称性の形成にゴルジ体が重要な役割を担っていると考え、リン脂質非対称性の形成におけるゴルジ体の分子メカニズムの解明を目指して研究を行っている。本研究では出芽酵母ゴルジ体をそのサブコンパートメントであるearly Golgiとlate Golgiに分けて免疫学的に単離・精製し、ゴルジ体のサブコンパートメント単位での脂質組成、および、リン脂質の膜内外での分布を解析している。初めに単離したゴルジ体サブコンパートメントがintactな状態で回収されていることをプロテアーゼプロテクションアッセイにより調べた。単離したゴルジ体をProteinase Kで処理し、ゴルジ体に局在する一回膜貫通型糖鎖修飾酵素であるMnn9pをウェスタンブロッティングで検出した結果、Mnn9pの細胞質側のみが切断され、ゴルジ体内腔はプロテアーゼから保護された。このことから、単離したゴルジ体は膜の破裂や膜の裏表が反転したりしていないことが分かり、リン脂質の配向性の解析に利用可能であることが分かった。また、単離したゴルジ体の脂質組成をガスクロマトグラフィーにより解析した。現在、単離したゴルジ体サブコンパートメントにおけるリン脂質の配向性をリン脂質結合プローブを利用して解析している。
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