2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770163
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
麻野 四郎 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (00397613)
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Keywords | 細胞増殖因子 / エクトドメインシェディング / HB-EGF / ADAMプロテアーゼ / 遺伝子スクリーニング / siRNAライブラリー |
Research Abstract |
HB-EGFを含むEGFファミリーの分子は全て膜結合型で産生され、細胞外ドメインがプロテアーゼによって切断されるシェディングという過程を経て初めて分泌型となるが、この過程は個体発生と腫瘍形成に重要な意味を持つことが示されている。EGFファミリーのシェディングの分子機構については、細胞内カルシウム濃度、PKCの活性化、Rasの活性化、ストレス刺激などが重要な役割を果たしていることが知られている。また、ADAM17/TACEプロテアーゼがEGFファミリーの全てのシェディングに関与していることが分かっている。しかし、種々の細胞外刺激に対応した多様なシグナルの活性化がADAM17によるEGFファミリーのシェディングへと収束する分子機構については不明である。この部分の解明を目標としてHB-EGFのシェディングに至るシグナル経路をsiRNAライブラリーを用いたスクリーニングにより明らかにすることが本研究の目的である。平成17年度に申請者らはsiRNAライブラリーを用いて、HB-EGFシェディングに関与する分子のスクリーニングをする系を確立した。平成18年度半ばには分子の同定を終了する予定である。スクリーニングの概要を以下に述べる。 まず、HB-EGFをヒト肺ガン由来A549細胞に高発現したA549-H細胞にSBI社のsiRNAレンチウイルスライブラリーを感染させ、様々な遺伝子の機能を欠損した細胞群を構築する。そして、HB-EGFのシェディングを誘導するために、A549-H細胞にTPAあるいはイオノマイシン刺激を与える。刺激後、トリプシン処理でA549-H細胞を浮遊化し、HB-EGFに対する抗体を用いて細胞膜上のHB-EGFを染色する。シェディングが起こっていない細胞は細胞表面にHB-EGFの細胞外ドメインが残存しており、強いシグナルを出すと考えられる。HB-EGFシェディング能を欠いていると思われるこれらの細胞をセルソーターFACSAriaを用いて分取する。分取された細胞からRNAを回収し、siRNA周辺の塩基配列特異的なプライマーを用いて、siRNA配列を含むDNAを増幅する。SBI社のsiRNAライブラリーのsiRNAの配列はアフィメトリックス社のマイクロアレイに対応しているので、マイクロアレイ解析により分取された細胞群で発現されていたsiRNAはどの遺伝子をターゲットするものだったのか容易に知ることができる。平成17年度には既に有力な候補分子が得られた。平成18年度には、これらの分子がADAM17/TACEを活性化する分子機構を明らかにし、さらに新たな候補分子を同定する予定である。
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