2005 Fiscal Year Annual Research Report
Bc1-2ファミリー分子の局在化を制御する可溶性因子の検索
Project/Area Number |
17770165
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大寺 秀典 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (40380612)
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Keywords | Bcl-2ファミリー / セミインタクト細胞 / オルガネラ / 細胞内物質輸送 |
Research Abstract |
アポトーシス制御に機能するBcl-2ファミリー蛋白質の細胞内局在化の分子機構 上記課題を解析するための評価系を構築した。コレステロール感受性界面活性剤であるジギトニンにより細胞膜のみ半透過性にしたHeLa細胞(セミインタクト細胞)を調製し、ウサギ網状赤血球ライセートで合成したBcl-2ファミリー蛋白質{Bak、Bcl-XL(C末アンカー蛋白質)}をミトコンドリア特異的に輸送させうるアッセイ系を再構成した。本アッセイ系によりBcl-2ファミリー以外のミトコンドリア外膜蛋白質{VDAC2/voltage dependent anion chanel(βバレル蛋白質)}あるいはマトリックス蛋白質(Su9-DHFR)などの輸送も同時に再構成した。次に本アッセイ系を用い輸送におけるATP加水分解の要求性を解析したところBak、Bcl-XLの輸送にはATP加水分解エネルギーは必要ないが、VDAC2とSu9-DHFR輸送には必要であることを明らかにした。またミトコンドリア外膜透過装置複合体(TOM複合体)の構成因子であるTom20、Tom22、Tom40、Tom70などの発現をRNAi干渉法(RNAi)により抑制してもBakおよびBcl-XL輸送には影響ないが、VDAC2およびSu9-DHFRにはTOM複合体が必要であることを明らかにした。さらにBcl-2ファミリー蛋白質と同じC末アンカー蛋白質であるOmp25によりBak、Bcl-XL輸送の阻害が認められたことからBakおよびBcl-XL輸送はOmp25などの一般的なC末アンカー蛋白質と同じメカニズムでなされていることを明らかにした。 特異的オルガネラへの標的化を可能にする分子メカニズムについて解析するためまずシステイン修飾試薬であるNEM(N-ethylmaleimide)感受性を調べた。その結果、VDAC2輸送には影響が見られたが、BakおよびBcl-XL輸送には影響なかった。一方、精製したBakの輸送が細胞質成分の添加に依存して促進することを見いだした。Bakの輸送シグナルのみをGFPに付加したモデル蛋白質(GFP-BakC)輸送は細胞質成分に非依存的に輸送されたことから、BakおよびBcl-XLなどのBcl-2ファミリー蛋白質(C末アンカー蛋白質)輸送は細胞質シャペロンなどに依存するものの、分子内に存在する輸送シグナル自身によりミトコンドリアへ標的化するものと推察された。 以上の結果をまとめて論文投稿準備中である。
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