2005 Fiscal Year Annual Research Report
核の内膜タンパク質の小胞体から内膜への輸送機構の解明
Project/Area Number |
17770166
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大場 誠介 九州大学, 医学研究院, 特任助手 (80380666)
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Keywords | 核膜タンパク質 / 核の外膜から内膜への輸送機構 / 生きた細胞内での実験系 / 核膜孔 / rapamycin誘導複合体 / 抗体のmicroinjection / タンパク質の輸送制限 / lumen構造物 |
Research Abstract |
目的は、膜タンパク質の核の外膜から内膜への移動方法を明らかにする事にある。この目的を効果的に達成するために、生きた細胞内での膜タンパク質の移動の様子を観測する実験方法を構築した。二つのキメラタンパク質、レポーターとトラップを細胞内で発現させたところ、膜貫通領域とGFPを持ったレポーターは細胞質の小胞体に、核の裏打ちタンパク質であるラミンとの結合領域を持ったトラップは核の内部、及び核の内膜に局在した。互いのタンパク質はrapamycinを介して複合体を形成できるように設計しており、実際細胞にrapamycinを加えたところ、レポーターは核膜上に移動した。 核の外膜-内膜移動モデルとして以下の3つの仮説を考えた。 1)核膜孔の側でつながっている外膜と内膜の領域を通ってタンパク質が移動する方法。 2)外膜と内膜が一時的に融合し、タンパク質が移動する方法。 3)外膜と内膜の間(lumen)を小胞輸送によって移動する方法。 核膜孔に対する抗体を細胞に注入したところ、レポーターの移動が著しく遅くなった。つまり仮説1が有力になった。 次にレポーターの大きさの限界を調べた。レポーターの大きさは約44kDaで、この大きさでは移動に制限はない。そこで膜を挟んだレポーターの細胞質側、lumen側にそれぞれ50kDaの大きさのピルビン酸キナーゼを結合することで移動が制限されるかを調べたところ、細胞質側だけでなくlumen側にピルビン酸キナーゼを結合したレポーターにおいても移動が遅くなった。細胞質側は核膜孔のタンパク質が移動の障害になって、レポーターの移動が遅くなることは予想されていたが、目立った構造物が無いlumen側に大きさの制限はないと従来から考えられていた。今回の結果より、核膜孔のlumen側にタンパク質の輸送制限を行う新たな構造物の存在が示唆された。
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