2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770171
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
梅林 恭平 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助手 (60321733)
|
Keywords | 細胞・組織 / 癌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
上皮増殖因子(EGF ; epidermal growth factor)受容体は,EGFに結合して増殖シグナルを発信した後に,細胞膜からエンドサイトーシス経路を通ってリソソームへ運ばれて分解される.この経路では,受容体のユビキチン化が輸送シグナルとして機能することが知られている.ユビキチンリガーゼであるCblの局在を調べたところ,従来考えられていた細胞膜ではなく,むしろエンドソームに局在することが明らかになった.このことは,ユビキチン依存的な受容体の選別がエンドソームで行われ,さらにエンドソームでEGFシグナリングが起こる可能性を示唆するものである.Cblのドミナント・ネガティブな変異体を発現させると,ユビキチン化が阻害されたにもかかわらず,受容体はエンドソームまでは輸送された.Hrsはエンドソームに局在するタンパク質で,ユビキチン化された受容体に結合し,リソソームへ選別する役割があると考えられている.Cblのドミナント・ネガティブな変異体の発現によって,受容体と共免疫沈降するHrsの量が低下した.以上の結果から,受容体のユビキチン化は,細胞膜からエンドソームへの輸送よりもむしろ,エンドソームからリソソームへの輸送に必要であることが示唆された. エンドサイトーシス経路は,細菌やウイルスの細胞内侵入に利用される場合もある.歯周病菌の侵入メカニズムについて調べたところ,宿主細胞のアクチン,チューブリン骨格の再編成を引き起こして,大きな菌でも取り込み可能なエンドサイトーシスを引き起こすことが明らかとなった.さらに,宿主細胞膜のコレステロールに富んだドメインが,歯周病菌が侵入する際の足場として必要であることを明らかにした.
|