2006 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質Rap1によるVE-Cadherin活性制御機構の解明
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17770177
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
福原 茂朋 国立循環器病センター(研究所), 循環器形態部, 室長 (70332880)
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Keywords | VE-Cadherin / Rap1 / 細胞間接着 / 血管内皮細胞 / 血管透過性 |
Research Abstract |
血管内皮特異的細胞間接着分子VE-Cadherin (Vascular Endothelial Cell Cadherin)はアドヘレンスジャンクションの形成を介して血管のバリヤー機能を厳密に制御している。最近、我々は低分子量GTP結合タンパク質Rap1がVE-Cadherin接着を制御していることを明らかにした。平成18年度はその分子メカニズムについてさらに解析を行い、以下のような結果を得た。 (1)Rap1によるアクチン細胞骨格系制御を介したVE-cadherin接着制御メカニズム サイクリックAMPによるVE-cadherin接着亢進メカニズムについて解析した結果、サイクリックAMPはRap1を介して細胞間接着部位でアクチン線維の束化を引起こすことが分かった。また、このアクチン線維はVE-cadherinの細胞間接着部位における安定化に寄与しており、これによりVE-cadherin接着が増強されることが示された。 (2)Rap1によるVE-cadherinの細胞内輸送制御機構の解析 EGTAにより細胞外カルシウムを除去しVE-cadherin接着を破壊すると、その一部はエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、初期エンドゾームやリサイクリングエンドゾームに局在することが分かった。また、細胞外へのカルシウムを添加によってVE-cadherin接着を再形成させると、エンドゾームに局在していたVE-cadherinが細胞間接着部位へ輸送されたが、この効果はRap1の活性化によって促進されることが分かった。このことから、Rap1はVE-cadherinのエンドゾームから細胞間接着部位への輸送に関与している可能性が示唆された。 (3)部位および刺激依存的にRap1を活性化するシステムの開発 FRB (rapamycin binding domain of mTOR)とFKBP (FK506-binding protein)はrapamycin依存的に会合する分子である。今回この現象を利用して、Rap1活性を時・空間的に制御可能なシステムを開発した。具体的には、細胞にFKBPにRap1の活性化因子(C3G、Epacなど)の触媒領域を融合した分子、および膜移行シグナルを付加したFRBを発現させ、rapamycinで刺激した。その結果、細胞膜でrapamycin刺激依存的なRap1の活性化が観察された。今後、細胞の様々な部位に局在するRFBを作製し、Rap1によるVE-cadherin接着の制御機構を詳細に解析していく。
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Research Products
(6 results)