2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770184
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
箕口 滋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60322757)
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Keywords | ES細胞 / DNAメチル化 / レトロウイルス / ジーンサイレンシング / エピジェネティクス / 幹細胞 / MSCV / position effect variegation |
Research Abstract |
(1)MSCVのサイレンシングとDNAメチル化との相関 GFPをコードするMSCVベクターをES細胞に感染後3日目にGFP発現細胞をSingle Cell Sortingによって単離し数週間後に各クローンにおけるGFP発現をフローサイトメトリーにて解析すると、ほとんどのクローンがモザイクな発現パターンを示した。このモザイク・クローンについて再度発現細胞と非発現細胞をSortingにより分離すると、クローンごとに異なった速度で非発現細胞から発現を再開する細胞が出現することが分かった。このようなクローンについて、プロウイルスのDNAメチル化を検討すると、発現の有無とメチル化の間には極めて高い相関が見られた。また、モザイク・クローンにおいて5-aza-deoxycytidineの添加によって発現の再開が起こることから、DNAメチル化がこの一過性のサイレンシングの原因であることが示された。 (2)プロウイルスの染色体位置のマッピング モザイク・クローンについてプロウイルスの染色体位置を決定した。テロメアやセントロメアなどのヘテロクロマチン領域にはマップされず、通常の遺伝子コード領域に存在した。このことから、モザイク・クローンのサイレンシングは、ショウジョウバエで知られるposition effect variegationとは異なった機構によるものと考えられた。 (3)クロマチン構成因子・ヒストン修飾との相関の探索 MSCVをES細胞に感染後3日目にGFP発現細胞をSortし、数週間後に発現を維持した細胞と消失した細胞を再度Sortingにより分離して、プロウイルス領域のクロマチン構成因子やヒストン修飾の相違をクロマチン免疫沈降法にて比較した。ヒストンのアセチル化またはメチル化修飾について多くの特異抗体を検討したが、発現の有無と相関のあるものはなかった。また、Bmi-1やYY-1等のポリコーム因子についても検討したが、変化は見られなかった。この結果から、ES細胞におけるMSCVのサイレンシングではヒストン・コードやポリコーム遺伝子群の関与せず、DNAメチル化が中心的な役割を担う可能性が高いことが分かった。
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Research Products
(2 results)