2005 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓初期発生と再生過程の比較解析による未分化細胞からの肝細胞分化決定機構の探索
Project/Area Number |
17770188
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小池 亨 静岡大学, 理学部, 助手 (20377716)
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Keywords | 再生医学 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 肝細胞 / 幹細胞 / 培養 / ニコチンアミド / 内胚葉 |
Research Abstract |
本研究は、肝臓発生過程での未分化内胚葉からの肝細胞分化と、肝再生過程における未分化細胞からの肝細胞分化における、共通の肝細胞分化機構を探ることを目的としている。 初年度である平成17年度は、主に研究実施計画の「1.分泌性因子による未分化細胞からの肝細胞分化誘導作用機構の高感度な解析系の確立」に重点をおいて研究を行なった。まず内胚葉上皮と中胚葉性の間充織からなる肝臓原基の器官培養を行ない、肝細胞や間葉系細胞の各種分化マーカーや細胞増殖マーカーに対する免疫組織化学的解析により、培養片における細胞の動態や肝細胞の分化を解析した。次にその肝臓原基から未分化内胚葉上皮を単離し、間充織とのトランスフィルター培養(上皮と間充織を直接には接着させないで培養する)、さらには内胚葉上皮のin vitroでの単独培養系の確立を試みた。その結果、器官培養やトランスフィルター培養下では成熟肝細胞マーカーを発現する肝細胞を分化させることができた。一方、ニコチンアミド存在下で内胚葉上皮を単独培養することで、細胞が長期間生存し、しかも未分化なまま維持されることを示した。現段階の上皮単独培養条件下では細胞増殖があまり起こらないため、細胞増殖を誘導する培養条件を探索することが今後の課題であるが、この培養系は様々な因子による肝細胞分化誘導活性を解析する上で、重要な実験系となることが期待される。 また研究実施計画の「2.肝臓発生過程と再生過程での肝細胞分化誘導機構の比較解析」については、まずラットを用いたガラクトサミンによる障害肝、さらにはマウスを用いたアセトアミノフェンによる障害肝の最適な誘導条件を決定した。次にそれら障害肝の再生過程を組織学的に解析した。その際、肝臓の初期発生過程で発現する転写因子群や、様々な細胞分化マーカーの発現を免疫組織化学的に行ない、正常発生との比較解析を進めている。
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