2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿細管の形成と管径調節におけるメダカ多発性嚢胞腎原因遺伝子pcの役割
Project/Area Number |
17770190
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橋本 寿史 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助手 (30359757)
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Keywords | 多発生嚢胞腎 / メダカ / 突然変異体 / 腎臓 / ヒト疾患 / 疾患モデル / 繊毛 / 転写因子 |
Research Abstract |
メダカpcは多発生嚢胞腎症を発症する自然突然変異体である。pcでは腎尿細管特異的に管径の拡張が起こる。したがって変異体の原因遺伝子pcは腎尿細管の形成と管径調節を担うと考えられる。本研究では、腎尿細管の管径を適切に維持するメカニズムを明らかにする目的で、pcの機能を解析した。 pcの発現様式 pcのアンチセンスプローブを用いたin situ hybridizationによって、メダカにおけるpc mRNAの発現を経時的に調べたところ、pcは前腎が形成される胚の器官形成期から成魚期までずっと、腎臓の尿細管および尿管の上皮細胞に特異的に発現していた。 ヒトpcオーソログと疾患 配列の相同性やゲノムのシンテニーなどから、哺乳類のpcオーソログはglis3であることがわかった。哺乳類ではglisファミリーとしてglis3の他にglis1およびglis2の相同分子が報告されているが、いずれも機能性は不明である。哺乳類におけるpc/glis3の機能を明らかにするために、現在、理化学研究所CDB変異マウスチームと共同でglis3ノックアウトマウスを作製している。またpc/glis3とヒトの腎疾患との関連を明らかにするため、ドイツ・ミュンヘン大学との共同研究で腎生検ライブラリーの解析を行っている。また、glis1およびglis2をメダカにおいて同定し、pc/glis3同様に機能解析を開始した。 アンチセンスオリゴによるpcのノックダウン pc mRNAの発現は比較的遅い時期から始まるにもかかわらず、アンチセンスオリゴを用いたノックダウンで、pcの機能欠損による表現型である尿細管の拡張を再現することができた。孵化直後に前腎性の嚢胞を尿細管に観察した。また、pc/glis3およびglis1のダブルノックダウンによって表現型が増長されたことから、これらの相同分子は機能的に一部重複している可能性が考えられた。
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