2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770206
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
猪股 伸幸 Kyushu University, 大学院・理学研究所, 助教 (20301335)
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Keywords | 遺伝 / 進化 / 重複遺伝子 / ショウジョウバエ / アミラーゼ |
Research Abstract |
トラフショウジョウバエ(Drosophila kikkawai)はゲノム中に4コピーのアミラーゼ遺伝子をもつ。重複アミラーゼ遺伝子のひとつであるAmy1遺伝子について研究を行った。トラフショウジョウバエのAmyl遺伝子のコード領域1.5kbとその5'上流域約1.7kbおよび3'下流域約300bpをキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)に遺伝子導入(異種間トランスフォーメイション実験)すると、宿主であるキイロシゴウジョウバエにおいてトラフショウジョウバエと同様の遺伝子発現パターンを示すことを明らかにした。このことはキイロショウジョウバエの遺伝子発現調節に関わるトランスエレメントは機能的にはトラブシゴウジョウバエと同等であり、進化的に保存されていることを示唆する。また、2種間で観察される遺伝子発現の違いは遺伝子コード領域の近傍配列が原因であることを示唆する。そこで、Arny 1遺伝子の5'上流域におけるアミラーゼ遺伝子の発現調節機能について調べるため、Amy1遺伝子5'上流域のdeletion mutantationによるDNA constructの作製およびP因子仲介形質転換法による異種間トランスフォーメイション実験を行った。その結果、(1)異なる2つの餌(アミラーゼ酵素の基質である澱粉とその分解産物であるグルコース)に応答するシス調節配列はAmyl遺伝子コード領域の近傍の上流域に存在する、(2)澱粉の餌でアミラーゼ遺伝子発現を誘発するシス調節配列が少なくとも2つは存在する。これらは、上記(1)の餌応答シス調節配列よりさらに上流域に位置する、また、(3)餌に依存しないアミラーゼ遺伝子発現を抑制するシス調節配列が存在し、その配列は、トラフショウジョウバエとキイロショウジョウバエで同一である、ことが明らかになった。本研究の成果は学術雑誌GENE(2008年)に掲載された。
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Research Products
(3 results)