2005 Fiscal Year Annual Research Report
水平移行遺伝子の包括的検出法開発と進化的ダイナミズムの解明
Project/Area Number |
17770209
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 剛 独立行政法人農業生物資源研究所, ゲノム研究グループ, チーム長 (80356469)
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Keywords | ベイズ推定 / 水平遺伝子移行 / 分子進化 / 分子系統樹 / ゲノム解析 |
Research Abstract |
これまでベイズ推定によって水平移行を感度よく検出する方法の開発を行ってきており、微生物ゲノム中では10%を超えるような水平移行遺伝子があり、特に病原性細菌などで進化的に有利と思える遺伝子の移行が統計的に有意に多いことなどを明らかにしてきた。本課題では、このような塩基の偏りに基づく方法と分子系統樹をあわせて総合的に判定する方法を用い、微生物だけではなく高等真核生物も視野に入れつつ水平遺伝子移行の実態を明らかにすることを目的とする。さらに、近縁種間で水平移行ならびに非移行遺伝子を比較解析し、遺伝子の有無やフレームシフトの検出を行うことによって、水平移行遺伝子の出生消滅の速度を明らかにするなど、進化的にどのような意味を持つのかその実像に迫りたい。このためまず、PCサーバーを整備し、ベイズ推定に基づく水平移行検出プログラム、系統樹作成プログラム、アミノ酸で作成したアラインメントを元にコドン単位でDNAのアラインメントにに変換するプログラムを導入し、動作するようにした。また、系統樹を自動作成するため、データベースから適当なホモログを抽出する条件などを検討し(例えばデータベース検索で被覆率70%、一致度60%くらいの基準で、おおよそ妥当な系統樹が得られる)、大規模系統樹作成のための計算環境を整備できた。このようにして得られた系統樹や水平移行遺伝子の情報とコドン単位でDNAのアラインメントなどを組みあわせることによって、水平移行による進化のダイナミズムを明らかにするべく、現在、更なる分子進化解析のための準備を進めている。
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