2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770212
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長岡 朋人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (20360216)
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Keywords | 中世人骨 / 古人口学 / ライフヒストリー / 形態学 / 歯 / 頭蓋 |
Research Abstract |
1.中世日本人の古人口学的研究 本研究では、由比ヶ浜南遺跡単体埋葬墓から出土した中世人骨の生命表に基づき、当時の人口構成の復元を行った。男女比はほぼ1:1であり、未成年と成人個体の比は2:3であった。また、当時の平均寿命が24.0歳という興味深い結果が得られた。しかし、生命表に基づく古人口学的分析は、幼年個体の保存状態の悪さと老年個体の年齢推定の不確かさという方法論的な問題が近年指摘されているため、今後分析方法の改善を行う必要がある。 2.中世日本人の頭蓋形態の研究 本研究は、近年資料の蓄積が著しい関東地方の中世人頭蓋の計測を行い、そのデータと文献から収集した頭蓋計測値に基づき関東地方の中世人頭蓋の変異を明らかにした.関東地方の中世人頭蓋形態は時期とともに変化し、中世の後期人ほど江戸時代人や現代人との類似性を示した。また、中世人頭蓋は長頭・低顔という点で他時代人にはみられない特異性を認めた。その特異性は時期が古い極楽寺中世人や材木座中世人では著しかったが、時期とともにその程度が弱くなった。 3.中世日本人の破損頭蓋の性別判定 鎌倉市の由比ヶ浜地域に所在する遺跡からは,これまで数千体の中世人骨がみつかっている。しかし,由比ヶ浜地域の多くの人骨は,頭蓋の集積墓から破損した状態で出土しているため,正確な性別判定は困難である。本研究では,鎌倉市出土の中世人頭蓋に基づいて性別判定の判別式を求めた。計測部位は,乳様突起など,破損した頭蓋でも遺残しやすい部位である。本研究で求めた判別式のうちの1つは,乳様突起長1項目だけに基づく式でも80%の的中率を上回っていた。また,計測項目を増やして判別式を求めた場合にはより高い的中率が得られた。本研究の判別式は,保存状態が悪い中世人頭蓋の性別判定に有効である。
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Research Products
(5 results)