2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770212
|
Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長岡 朋人 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 助教 (20360216)
|
Keywords | 中世人骨 / 古人口学 / タフォノミー / 形態学 / 年齢推定 / 性別判定 / カットマーク / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1.中近世日本人の古人口学的研究 本研究では、鎌倉市中世集団墓地遺跡と東京都一橋高校遺跡から出土した人骨の人口構成の復元を行った。ベイズ推定に基づく新しい年齢分布の推定法を作り出し、応用を試みた結果、宗門改帳などに見られる死亡年齢分布に非常に合致した結果が得られた。本研究の知見は古人口学の問題点を克服する重要な成果であり、その成果はAmerican Journal of Physical Anthropologyなどの雑誌に掲載された。本研究の成果の応用として、全国の大学や博物館に所蔵されている古人骨の調査を行った。 2.中世日本人の頭蓋に見られるカットマークの研究 鎌倉市由比ケ浜地域に所在する中世集団墓地の頭蓋集積墓出土人骨を調査し,380体のうち3体にカットマークを認めた。まず,1例目は成人男性で前頭骨にカットマークがあった。左側頭線上方から左前頭結節を経て右前頭結節へと平行に並ぶカットマークと,右前頭結節後方に平行に並ぶカットマークである。2例目は成人女性で,前頭骨,左右頭頂骨にカットマークがあった。右は側頭線上方で冠状縫合後方から右頭頂骨全体に平行に並ぶカットマークを認めた。左は左頭頂骨から冠状縫合を超えて前頭骨に達するカットマークとともに,左頭頂骨全体に平行に並ぶカットマークが認められた。3例目は性別・年齢が不明で,左頭頂骨の側頭線の上方から下方へと平行に並ぶカットマークである。以上のカットマークは浅い傷が平行に並ぶのが特徴である。また,カットマークの深さは外板にとどまり,治癒が見られない点も共通する。本研究は,従来の肉眼観察に加え,走査型電子顕微鏡による精査から中世人の殺傷痕の分析を行った。
|
Research Products
(4 results)