2005 Fiscal Year Annual Research Report
陸上移動運動におけるヒトの機能的潜在性:free-ride現象に着目して
Project/Area Number |
17770217
|
Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
安陪 大治郎 東亜大学, 総合人間・文化学部, 講師 (10368821)
|
Keywords | 歩行 / ウォーキング / 重量物 / free-ride / 経済速度 / 至適速度 / 運搬 |
Research Abstract |
重量物を運搬歩行するときの酸素消費量を単位距離当たりで評価した場合、酸素消費量は必ずしも運搬物の重量に比例して増大するわけではなく、体重の約10〜20%程度の重量が代謝に反映されない場合がある。このような現象をfree-rideというが、この現象のメカニズムについては不明であった。また、歩行時の単位距離あたりの酸素消費量は、速度に対して二次曲線的な応答を示すことが知られている。このとき、単位距離あたりの酸素消費量が最も低くなる歩行速度を「経済速度(または至適速度)」と読んでいるが、重量負荷によって経済速度が変化するという意見と変化しないという意見が存在する。そこで今年度は、1)重量物の負荷位置の違いがfree-rideに及ぼす影響、2)重量負荷による経済速度の変化について14名の健常な男子大学生を対象に検討した。なお、実験条件は次の3通りとした。 1)体重の15%に相当する重量物を背中上部(肩甲骨付近)に配置(条件1) 2)体重の15%に相当する重量物を背中下部(腰のやや上)に配置(条件2) 3)重量物なし(コントロール条件) その結果、重量物を背中に配置した両条件で得られた酸素消費量は、コントロール条件で得られた酸素消費量より有意に低かった。この傾向は経済速度より遅い歩行速度において顕著であった。また、経済速度が出現した分速80m付近において条件1と条件2で得られた酸素消費量に有意差がみられた。歩行中のストライドやピッチについても、ほぼ同じ速度帯において条件1と条件2間に統計的有意差がみられた。さらに条件1および条件2で得られた経済速度(それぞれ78.1m/minと77.8m/min)は、コントロール条件で得られた経済速度(81.4m/min)より4%程度低いものであった。
|
Research Products
(1 results)