2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17780001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 亮 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00372269)
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Keywords | イネ / アンモニウムトランスポーター / 窒素 / 根 / プロモーター |
Research Abstract |
アンモニウムイオンは硝酸イオンと並んで、植物が外環境からの供給に依存している重要な無機窒素栄養素である。窒素イオンの細胞内への取り込み・細胞間への移動には、膜貫通型タンパク質である窒素トランスポーターの"能動的な輸送システム"が必要とされる。水田に代表される湛水土壌では、アンモニウムイオンは主たる窒素源として存在し、その取り込みにはアンモニウムトランスポーター(Ammonium Transporter: AMT)が機能する。イネのゲノムには3種類のOsAMT1遺伝子(OsAMT1; 1-1; 3)が存在している。OsAMT1; 1は構成的な発現様式を示すのに対し、OsAMT1; 2は根で特異的に発現しており、アンモニウムイオン存在下で顕著な発現促進が認められる。またOsAMT1; 3も根で特異的な発現を示したが、窒素飢餓条件下で最も顕著な発現が認められる。この様にイネには複数かつ発現制御の異なるAMT1群が存在することで、外的・内的窒素栄養環境の変動に適応しているものと思われる。 本研究では、組織特異的に発現し、かつ窒素栄養状態で発現誘導ないし抑制されるOsAMT1; 2およびOsAMT1; 3のプロモーター解析を行った。それぞれの遺伝子のプロモーター領域と推定されるゲノムDNAをレポーター遺伝子と誘導させた形質転換体を用いた。プロモーターは、翻訳開始点の上流4kbpおよび2kbpの異なる2つ領域で検討を行った。4kbpのプロモーター活性は、両遺伝子とも発現解析の結果と一致していた。しかし、2kbpのプロモーター活性は、不活性ないし発現誘導性の喪失が認められた。よって、OsAMT1; 2およびOsAMT1; 3とも、発現の特異性および窒素栄養状態に反映した発現制御は、翻訳開始点の上流3kbpから4kbpの領域が重要であることが明らかとなった。
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