2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17780025
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
牛島 幸一郎 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (20379720)
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Keywords | 果実成熟 / クライマクテリック型果実 / エチレン |
Research Abstract |
果実はその成熟特性により、クライマクテリック型果実とノンクライマクテリック型果実とに分類される。クライマクテリック型果実はその成熟がエチレンによって制御されているタイプの果実であり、トマトやメロン、バナナなどが分類される。これまでに果実成熟の研究はクライマクテリック型果実を中心に行われており、ノンクライマクテリック型果実についての知見はわずかである。 昨年度の研究において、様々なメロン品種の成熟特性の解析を行ったところ、クライマクテリック型果実とノンクライマクテリック型果実の中間のような特性を示す‘ハネデュ'という品種があることを示した。この品種はほとんどエチレンを生成しないため、ほとんど成熟が進行しない。そこで、エチレン生成以外の成熟形質に関して解析を行った。果肉軟化と香気成分生成について解析を行ったところ、空気条件下で保存した‘ハネデュ'果実は高い果肉硬度を維持し、ほとんど香気成分を生成しなかった。しかし、外生エチレンを処理すると果肉軟化、香気成分生成が促進された。これらの結果は、‘ハネデュ'ではエチレン信号の受容と伝達がなされていることを示している。従って、‘ハネデュ'果実ではエチレン信号伝達系のうち成熟エチレン生成を制御する系に何らかの変異があることが示唆された。 ‘ハネデュ'の変異がどの程度の因子に影響を及ぼすのか、また変異遺伝子特定を目的として、メロンの転写因子の発現パターンの解析を行った。データベースには100ほどの転写因子が登録されているので、それぞれにプライマーを設計しリアルタイムPCRをおこなった。その結果27のエチレン応答性遺伝子のうち4割の遺伝子の発現パターンが他のメロン品種とは明らかに異なっていた。その中にはエチレンとの関連が報告されているものや他のホルモンとの関連が示唆されているものもあり、エチレン生成を制御する因子の候補となると考えられた。
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