2005 Fiscal Year Annual Research Report
HC-Pro/rgsCaMによるRNAサイレンシング阻害の分子機構
Project/Area Number |
17780032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中原 健二 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90315606)
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Keywords | RNAi / RNAサイレンシング / 植物ウイルス学 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
クローバー葉脈黄化ウイルス(C1YVV)を含む植物ポテイウイルスのHC-Proは植物自身が持つルモジュリン様タンパク質rgsCaMを介してRNAサイレンシングを阻害していると考えられている。これらの遺伝子がショウジョウバエ(S2)培養細胞においてもRNAサイレンシングを阻害するのか検討した。ショウジョウバエはこの分子機構の解明に最も適した生物の一つだからである。当初、レポーター遺伝子としてGFPを用いてこの阻害活性を測定していたが、再現性のある結果が得られなかったため、2種類のルシフェラーゼを用いた再現性の高い系を新たに構築して測定し直したところ、HC-Proには阻害活性は見られなかったが、rgsCaMの発現下ではS2細胞のRNAサイレンシング活性が弱まることが明らかとなった。そこで、この阻害の作用点を調べるために、RNAサイレンシングの誘導に短鎖の2本鎖RNA(siRNA)を用いたところ、rgsCaMは長鎖の2本鎖RNAを用いた時と同様にRNAサイレンシングを阻害した。このことからrgsCaMは長鎖2本鎖RNAがsiRNAへ切断された以降の過程でRNAサイレンシングを阻害することが分かった。一方、rgsCaMと同時にHC-Proを発現した場合、予想に反してこの阻害活性が消失した。両遺伝子間の結合能がin vitro翻訳系を用いた免疫沈降試験で確認されたことから、rgsCaMはHC-Proと結合するとRNAサイレンシング阻害活性を発揮できなくなると考えられた。このことは当初考えられていたHC-ProがrgsCaMを介してRNAサイレンシングを阻害しているという考えと矛盾する。この点について植物を用いた解析を開始した。また、rgsCaM遺伝子を導入したショウジョウバエ形質転換体を作成中である。今後、分子遺伝学・胚抽出物を用いた生化学により阻害活性を解析していく予定である。
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Research Products
(2 results)