2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原糸状菌の宿主認識と受容性誘導に関する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
17780036
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
辻 元人 京都府立大学, 農学研究科, 講師 (50381934)
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Keywords | 炭疽病 / 遺伝子 / シロイヌナズナ / 抵抗性 / 組み換え / 病理学 |
Research Abstract |
アブラナ科野菜類炭疽病菌はモデル植物シロイヌナズナに感染することから,病原菌-植物間相互作用を解析する上で有用な糸状菌である。本菌の感染器官分化時に発現している遺伝子、1700個について配列情報を明らかにした。それら配列情報について、糸状菌および酵母ゲノムデータベースを対象にしたBLAST検索を行い、相同性から予測される機能に基づき遺伝子分類を行った。その結果、1110個が既知遺伝子と相同性を示し、その内訳は遺伝子発現20%、細胞分化21%、代謝20%、機能未知39%であった。上記で得られた情報を利用して本菌の感染メカニズムの解明を効率的に進めていくためには、効率の良い遺伝子機能解析実験系を確立することが重要である。相同組み換えを利用した特異的遺伝子破壊株作出法は遺伝子機能を推測するための有効な手段の一つである。申請者はこれまで、アグロバクテリウムを利用して数種の糸状菌の効率的な遺伝子破壊実験系を確立してきたが、その中でアブラナ科野菜類炭疽病菌の相同組み換え効率が他の供試菌と比較して著しく低いことが明らかになった。そこで、本菌の非相同組み換えに関与する遺伝子を破壊することにより、相同組み換え効率向上株の作出を試みた。遺伝子修復に関与するアカパンカビ由来の遺伝子Mus-51と高い相同性を持つ遺伝子をアブラナ科野菜類炭疽病菌から単離し、ChMus-51と命名した。chmus51破壊株を作出し、その性状解析を行った結果、菌糸生育および病原性に野生株との差は認められなかった。つづいてChmus51破壊株を親株として、ポリケチド合成酵素遺伝子ChPKS1の破壊実験を行った結果、破壊効率は2.4%から97.5%へと大きく向上した。以上の結果から、アグロバクテリウム法を用いた本菌の効率的な遺伝子破壊株の作出にchmus51破壊株が有用であると考えられた。
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Research Products
(2 results)