2006 Fiscal Year Annual Research Report
トマト葉高率分離細菌の動的葉面定着性機構に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
17780037
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
野々村 照雄 近畿大学, 農学部, 講師 (30319660)
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Keywords | 遺伝子 / 酵素 / 最近 / 微生物 / 植物 |
Research Abstract |
生物防除に使用される微生物が具備すべき最重要特性として、以下の項目を挙げることができる。(1)病原菌の増殖を抑制できる能力、(2)処理作物で安定的に定着できる能力、そして、(3)定着後、一定の増殖により優先化できる能力を獲得していることである。本研究では、微生物の葉面処理による植物病害防除を目的とすることから、処理した微生物がどのように葉面で定着し、かっ増殖できるかを解明する必要がある。申請者は葉面生息細菌の中に高率でトマト葉面に定着性をもつ細菌(高率分離細菌)が生物界面活性物質(バイオサーファクタント)を生産すること、細胞外に多糖類を分泌分解して炭素源に利用することを明らかにしてきた。次に、トマ卜葉高率分離細菌の変異株を作出するため、エレクトロポーレーションによる本細菌染色体へのトランスポゾン挿入不活化法を行った。すなわち、容易かつ迅速に変異株の選抜と遺伝子解析を行うため、緑色蛍光タンパク質生産遺伝子(GFP遺伝子)とカナマイシン抵抗性遺伝子を荷与したトランスポゾンペクターを使用した。その結集、多くの形質転換株を得ることができた。そこで、形質転換株の生理・酵素学的機能を検定するため、生物界面活性物質産生能、酵素産生能(キチナーゼ生産、プロテアーゼ生産、リパーゼ生産)および色素産生能などの有無を検討したところ、界面活性剤非生産細菌を得ることができた。さらに、形質転換株をトマト葉に処理し、走査型電子顕微鏡および蛍光顕微鏡を用い、葉面上での本細菌の局在部位を観察したところ、表皮細胞縫合部に沿って生存していることが明らかとなった。現在、トマト葉上での高率分離細菌の定着・増殖メカニズムとうどんこ病菌(Oidium neolycoprsici)に対する防除効果の検討を行っている。
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