2006 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫病原性線虫およびその共生細菌の分子系統解析と共生メカニズムの解明
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17780042
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉賀 豊司 佐賀大学, 農学部, 助手 (00312231)
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Keywords | 昆虫病原性 / 線虫 / Xenorhabdus / Photorhabdus / 共生細菌 / Steinernema / Heterorhabditis |
Research Abstract |
昆虫病原性線虫を生物農薬としてさらに有効活用していくための基礎的知見を蓄積するため、線虫と共生関係にある細菌との親和性の解明を行った。日本産の昆虫病原性線虫から単離した共生細菌と、卵の表面殺菌によって得た無菌化した線虫を、lipid agar plateの人工培地上で二者培養を行った。その結果、S. litoraleと数種のXenorhabdus属細菌を組み合わせたところ、用いたXenorhabdus属細菌の多くの分離株上で線虫は細菌を摂食して発育し、プレート上で大量に増殖した。増殖数については、プレートによっては増殖のピークに違いが見られる事があったものの用いた細菌分離株間で大きな違いはみられなかった。二者培養開始2週間後には培地上に新たな感染態幼虫が出現した。得られた感染態幼虫を用いて、ハチノスツヅリガ幼虫に対する殺虫活性を調べたところ、いずれも高い殺虫活性が見られ、死亡したハチノスツヅリガ幼虫中で線虫の増殖が見られ、新たな感染態幼虫が得られた。また、二者培養によって得られた感染態幼虫を表面殺菌し、腸内の共生細菌の検出を行ったところ、いずれの組み合わせにおいても感染態幼虫から共生細菌は検出された。以上の事から、S. litoraleはXenorhabdus属細菌の多くの分離株と共生関係を構築する事が可能であり、有用なXenorhabdus属細菌と新たに組み合わせる事が可能である事が明らかになった。一方、市販の昆虫病原性線虫であるS. carpocapsaeを用いて同様の実験を行ったところ、他のXenorhabdus属細菌と組み合わせた場合には、S. carpocapsaeはほとんど発育できなかった。このことから、S. carpocapsaeは細菌との特異性が非常に高い事が明らかになった。
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Research Products
(2 results)