2007 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおける情報化学物質の感覚受容:味覚と嗅覚の相互理解
Project/Area Number |
17780043
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
高梨 琢磨 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林昆虫研究領域, 研究員 (60399376)
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Keywords | 電気生理学 / ショウジョウバエ / 味覚 / 嗅覚 / 化学受容 |
Research Abstract |
セイシェルショウジョウバエDrosophila sechelliaは、雑食性のキイロショウジョウバエとは対照的で、特異的な寄主植物(ヤエヤマアオキ果実)に産卵する。寄主植物主成分であるヘキサン酸は産卵及び誘引をひきおこし、かつ、ふ節に発現しているにおい結合タンパク質の遺伝子がヘキサン酸の味覚受容に関与していることが知られている。申請者は、ヘキサン酸及びその他の植物成分に対する神経応答性を明らかにするために、味覚感覚子の電気生理学的応答を調べた。前肢ふ節に存在する複数の味覚感覚子には、塩、糖、水、苦味成分それぞれに対して応答を示す神経が存在した。一方、ヘキサン酸に対してはふ節の特定の感覚子が応答を示した。ヘキサン酸のナトリウム塩や他の植物成分に対しても同一の感覚子で応答が見られた。しかし、その他の感覚子は、ヘキサン酸に対する応答を示さなかった。以上の結果から、本種はヘキサン酸とその他の寄主植物成分をふ節の味覚感覚子で受容し、産卵選択をおこなうと考えられる。ヘキサン酸は本種の触角でも受容されることが昨年度までに明らかになっており、種特異的な寄主選択は嗅覚受容と味覚受容が段階的におこることにより、誘引と産卵がひきおこされると考察された。
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