2006 Fiscal Year Annual Research Report
森林土壌におけるエステル硫酸態イオウの保持機構の解明
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17780050
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
谷川 東子 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (10353765)
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Keywords | 高純度合成酸化物 / エステル硫酸 / 硫酸イオン / 吸着反応 / 吸着等温線 / 高圧反応分解容器 / 鉄 / 森林土壌 |
Research Abstract |
高純度合成酸化物を用いてエステル硫酸の吸着等温線を作成するため、まずエステル硫酸態イオウの簡便な測定方法を開発した。従来、エステル硫酸態イオウの測定は、行程が煩雑な蒸留法が用いられてきた。この方法は時間がかかるため、本課題には適さないと考え、高圧反応分解容器(ボンブ)を用いてエステル硫酸を分解し、分解液中の硫酸イオンをイオンクロマトグラフィーで測定する方法を試行した。その結果、エステル硫酸態イオウの回収率が良く再現性ある結果を得ることができ、この方法が本課題に適用できることを確認した。 次に土壌中に存在することが知られているエステル硫酸態イオウの1種、アミノエチルヒドロジェン硫酸を用いて高純度鉄酸化物に対し吸着実験を行った。アミノエチルヒドロジェン硫酸を0.01mmol〜2.00mmolの6段階の濃度で添加し、26度の条件下で16時間振とうしたところ、エステル硫酸態イオウ濃度の増加に従い反応液中の濃度の減少を認めた。エステル硫酸態イオウ濃度の最大減少量は、鉄1gあたり52μmolSの吸着量に相当した。この結果は鉄酸化物の存在が土壌中でのエステル硫酸態イオウの保持に寄与する可能性があることを示している。 ただし本年度の実験では吸着等温線の作成には至らなかった。その原因は、温度条件が厳密に保たれていなかったこと、設定濃度が適切でなかったことなどが考えられる。今後これらの実験条件設定を変更し、再度吸着等温線の作成を試行する予定である。
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