2006 Fiscal Year Annual Research Report
大麻(アサ)の医薬化合物高生産を目的とした分子育種
Project/Area Number |
17780075
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高上馬 希重 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (80342781)
|
Keywords | アサ / 組織培養 / 毛状根 / THCA / GFP / 分子育種 |
Research Abstract |
大麻(アサ,Cannabis sativa L.,アサ科)には花や葉に麻酔性幻覚物質(tetrahydrocannabinolic acid, THCA)が含まれるドラッグタイプと,THCAを含有しない(又はごくわずか含有)繊維や油生産に利用されるファイバータイプに大二分される.このTHCA含有に関する違いに関する作用機序を解明するため,THCA生産に寄与するTHCA生合成酵素遺伝子に注目した. 同一環境で育てた13系統のアサの葉中のTHCA含有量は高含量6系統(1.19-7.51%dw)と低含量7系統(0-0.12%)の2群に分かれた.次に各系統のTHCA生合成酵素遺伝子の解析を行った.THCA生合成酵素遺伝子はCBDA生合成酵素遺伝子と配列相同性が非常に高い(87.9%).そこでCBDA生合成酵素遺伝子の混在を排除するプライマーを設計し,13系統全てに1.6kbの1個のフラグメントが得られた.これらは全て1638bpで,イントロンは存在せずエクソンのみで構成されていた.これら13の配列はTHCA分析と同様にドラッグタイプ6系統とファイバータイプ7系統の2群に分けられた.この2群間には62の塩基置換が認められた. 2群のDNA配列には塩基置換が多く認められたがどちらも545残基のアミノ酸をコードしていた.ドラッグタイプ系統とファイバータイプ系統間には37部位にアミノ酸置換が認められた.すなわちTHCA生合成酵素遺伝子にはドラッグタイプとファイバータイプで2つのタイプが存在することが示唆された, 主要な塩基置換に加えてドラッグタイプ#001系統の4箇所で他のドラッグタイプ系統とは異なる塩基置換が認められた.3箇所での塩基置換は同義的置換であり,アミノ酸配列には影響を及ぼさないと考えられた.他1部位は非同義的置換であったがコードするアミノ酸の化学的特徴は類似していた.#013系統では3個体についてゲノム配列決定を行ったが塩基置換は認められず全て同配列であった.ファイバータイプ群においても9つのマイナーな塩基置換が認められた.
|