2006 Fiscal Year Annual Research Report
RIP-1によるNF-kB活性化とアポトーシス誘導の解析
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17780076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金山 敦宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, リサーチフェロー (30376602)
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Keywords | NF-κB / RIP-1 / アポトーシス / TNF / ユビキチン |
Research Abstract |
TNF Receptor(TNFR)にTNFαが結合するとNF-κBが活性化し、細胞生存のシグナルとして働く。このNF-κBの活性化にはreceptor interacting protein-1(RIP-1)が必須で、RIP-1の377番目のリジン(K377)におけるユビキチン化が重要な役割を持つ。一方で、TNFシグナルはcaspase-8の活性化によるアポトーシスを誘導する。今回、RIP-1の発現が欠損したJurkat細胞(RIP-1-/-細胞)にRIP-1の変異体が恒常的に発現した細胞株を樹立し、TNF刺激による細胞死に及ぼすRIP-1の影響を検討した。その結果、K377をアルギニンに変異させたRIP-1を発現した細胞では、RIP-1-/-細胞と比較してTNF刺激によるcaspase-8の活性化が起きやすく、アポトーシスが有意に促進された。Intermediate domain(ID)を欠いたRIP-1を発現した細胞では、このアポトーシスの促進が観察されなかったため、IDがアポトーシス促進に関わっている可能性が示唆された。前年度の研究において、caspase-8複合体に存在するRIP-1はユビキチン化されていた為、IDに存在するリジン残基に変異を導入した細胞株を樹立し、RIP-1のユビキチン化とアポトーシスへの影響を検討した。その結果、K306がTNFαの刺激によってユビキチン化を受け、アポトーシスを誘導するのに必要であることが示唆された。TNF刺激によって活性酸素種が発生し細胞の生死を制御する場合が知られているが、過酸化水素から生じるクロラミンによってNF-κBの活性化が抑制され、同時にクロラミンによってJNKが活性化されることによって、アポトーシスが誘導された。この際、クロラミンはRIP-1のユビキチン化に影響しないことが示唆された。
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