2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗生物質に見られるデオキシアミノ糖類の効率的合成法の確立と医薬創製への応用
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17780089
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
松島 芳隆 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 准教授 (20282816)
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Keywords | deoxyamino sugar / antitumor antibiotic / intramolecular conjugate addition / trichloroacetimidate / daunosamine / acosamine / ristosamine / oxazoline |
Research Abstract |
アミノ糖は生理活性物質に広く存在するが、中でもデオキシアミノ糖は、エリスロマイシンに代表されるマクロリド系抗生物質、グリコペプチド系のバンコマイシン、アントラサイクリン系抗腫瘍抗生物質であるダウノマイシンなど、数多くの医薬品においても活性発現に必須な構造単位であることが知られている。筆者は抗生物質の活性発現機構の解明や、生合成ルート解明のツールとして、また医薬創製に向けた応用研究を目的としたデオキシアミノ糖の必要性に鑑み、その要求に応えるべく汎用性の高い効率的な新規合成法の開発を目的として研究を開始した。シャープレスの不斉ジヒドロキシル化反応によって両鏡像体の入手が可能な光学活性ジオールを出発原料とした合成研究の過程で、分子内に存在するα,β-不飽和エステルに対してトリクロロアセトイミダートが効率的に共役付加(マイケル付加)をすることを見いだした。本反応の特徴は、塩基の種類や条件を変えることで生成するオキサゾリン中間体の立体化学を変えることができる点にある。本反応を利用して窒素官能基の導入を行い、臨床医薬上最も重要であるデオキシアミノ糖である2,3,6-トリデオキシ-3-アミノ糖類すべての異性体(ダウノサミン、3-エピーダウノサミン、リストサミン、アコサミン)の合成に適用することに成功した(発表論文参照)。なお、研究の過程で得られた発見については、「オキサゾリン化合物の製造法」としてまとめ、特許を出願中である。
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