2006 Fiscal Year Annual Research Report
気相植物ジテルペノイドの受容・代謝メカニズムとその役割の解明
Project/Area Number |
17780093
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
兼目 裕充 独立行政法人理化学研究所, 促進制御研究チーム基礎科学, 特別研究員 (10399438)
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Keywords | ent-kaurene / gibberellin / シロイヌナズナ / 気相 / 代謝 / 輸送 / 矮化 |
Research Abstract |
ジベレリンの生合成中間体ent-カウレンは、色素体に局在するent-CDP合成酵素(CPS)とent-カウレン合成酵素(KS)によって生合成される。これまでにent-カウレンが数種の植物体から気相へ放出され、シロイヌナズナのga1およびga2突然変異体(CPS又はKS機能欠損株)は気相ent-カウレンを取り込み、媛性から回復することを見出している。本研究では植物から気相放出されたent-カウレンの受容メカニズム解明と活性ジベレリンまでの代謝の化学的実証を目的とする。 気相ent-カウレンが受容され活性ジベレリンまで代謝されるには、細胞外から細胞質、小胞体膜上への輸送と同上P450酵素および細胞質での数段階の酸化を経ることになる。無標識気相ent-カウレンを取り込ませたシロイヌナズナga1突然変異体からジベレリンの検出を試みたところ、極微量ながらジベレリン類を検出できた。本年度はこの結果を基に[17,17-^2H_2]ent-カウレンの取り込み実験を行った。活性ジベレリンであるGA4および生合成中間体のGA_<12>およびGA_<24>への重水素標識の取り込みが確認できたことから、本実験により気相ent-カウレンから活性ジベレリンへの代謝が実証できた。さらに、放射性同位体標識ent-カウレンを用いて、ent-カウレンから活性ジベレリンに至る生合成主経路や分岐経路全体の量的・質的推移を検証する予定である。平行して、気相ent-カウレン受容に関わる因子を明らかにするため、変異源処理したシロイヌナズナga1突然変異体から気相ent-カウレンを受容出来ない変異株の取得を検討している。当年度はM_2世代およびM_3世代の変異植物体について気相ent-カウレンや活性ジベレリンによる媛性回復の有無を指標としたスクリーニングを行い、十数の候補変異株を選抜した。現在、これらの候補変異株の詳細な分析を行っている。
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