2006 Fiscal Year Annual Research Report
食品の抗酸化機能評価を目指した酸化ストレス産物の一斉解析法の開発
Project/Area Number |
17780104
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河合 慶親 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50380027)
|
Keywords | 酸化ストレス / 脂質過酸化 / バイオーマーカー / 脂質ヒドロペルオキシド / アルデヒド / 抗酸化物質 / 次亜塩素酸 / GC-MS |
Research Abstract |
近年、種々の生活習慣病や老化の原因として酸化ストレスが注目されている。この過程で生じる種々の酸化産物は、種々の疾病や老化の発症・進展の指標と考えられており、これらを正確に評価することは、疾病・老化のリスク評価を可能とすることが期待され、また食品成分に含まれる抗酸化物質による予防・改善効果を評価する指標ともなり、疾病の早期発見や機能性食品の開発に有効である。本研究では、酸化ストレスにおいて生じる活性酸素種によって傷害される第一の標的分子と考えられる細胞膜脂質の過酸化反応に注目し、生じる脂質過酸化産物を網羅的に評価する方法の確立を試みた。方法としては、分離性・定量に優れたガスクロマトグラフ・質量分析法(GC-MS)を主に用いた。その結果、脂質過酸化初期産物である脂質ヒドロペルオキシド(Kawai et al.,Anal Biochem,2007)及びその分解産物である脂質アルデヒド(Kawai et al.,Chem Res Toxicol,2007)の同時一斉解析法の構築に成功した。また、これらの方法を用いてヒト低比重リポタンパク質(LDL)酸化物や肝障害モデルマウス肝臓といった生体サンプルの評価が可能である事を示した。また、酸化ストレスの発生源である炎症部位における細胞膜脂質の過酸化反応機構において好中球由来のミエロペルオキシダーゼの関与を明らかとし、この反応には細胞膜のアミノリン脂質組成が関与することを示した(Kawai et al.,Biochemistry,2006)。以上の結果より、生体内で生じる細胞膜脂質過酸化産物を網羅的に評価することが可能となった。本研究により構築した分析システムを用いて、食品中に含まれる種々の抗酸化物質の機能評価への応用を展開することが今後の課題である。
|
Research Products
(3 results)