2005 Fiscal Year Annual Research Report
食品由来脂質の細胞膜および細胞質輸送に関わるタンパク質の検索
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17780105
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
室田 佳恵子 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40294681)
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Keywords | 脂質 / 脂肪酸輸送送担体 / モノアシルグリセロール / 小腸 / Caco-2 |
Research Abstract |
近年大きな社会問題となりつつある肥満やそれに誘発される生活習慣病予防には食生活が重要な役割を担っている。中でも、直接的な原因となりうる食事性脂肪の過剰摂取を防ぎ吸収代謝を調節することは重要な課題である。主な食事性脂質は長鎖脂肪酸からなる中性脂肪(トリグリセリド、TG)であるが、これは腸管内でリパーゼの消化作用により2種の長鎖脂肪酸(LCFA)と2-モノアシルグリセロール(2-MG)に分解される。そこで、本課題ではこれら2つの主要な消化産物であるLCFAと2-MGの小腸における吸収代謝機構を明らかにすることを目的とした。LCFAの細胞取り込みには細胞膜上の脂肪酸輸送担体タンパク質が関わっていることが予想されている。そこで、初めにヒト小腸吸収上皮細胞のモデルとして汎用されているCaco-2細胞での主要な膜局在性脂肪酸輸送担体と目されるFatty Acid Transport Protein type IV(FATP4)の発現量を調べたところ、Caco-2細胞の分化度に関わらずほぼ一定の発現量を示した。また、Caco-2細胞へのオレイン酸取り込みは、濃度依存的に飽和曲線を描き、細胞への脂肪酸取り込みに輸送担体が介在していることを示唆することを報告したため、次にリノール酸を用いて取り込み実験を行ったところ、オレイン酸と同様に濃度依存的に飽和する傾向を得た。また細胞の分化が進むにつれて飽和度が高まる、すなわちKm値が小さくなることが推定されたため、現在、FATP4の細胞発現との連関を含めたより詳しい解析を行っている。また、脂肪酸とならぶ脂質消化産物である2-モノアシルグリセロール(2-MG)を用いた実験を行うため、安定した2-MG溶液を作製するための条件設定を行った。 なお、副次的な成果として、脂溶性食品成分であるフラボノイド類が脂質と同様に腸管吸収後リンパへ輸送されることを明らかにした。
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