2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17780110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上野 有紀 京都大学, 農学研究科, 研究員 (20388060)
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Keywords | 糖尿病 / アディポネクチン / 酸化ストレス / 6-gingerol |
Research Abstract |
<ショウガ科植物による2型糖尿病への効果> ショウガの辛味成分として知られる6-gingerolは、抗酸化作用、抗炎症作用などが知られる。我々はマウス脂肪細胞株3T3-L1を用いた実験で、抗糖尿病作用を示すアディポサイトカインの一つであるアディポネクチンの発現が、インスリン抵抗性惹起分子の一つとして知られるTNF-αにより低下するのを6-gingerolが抑制することを見出し(特開2006-249064)、6-gingerolを含むショウガの経口摂取による2型糖尿病への作用を検討した。2型糖尿病モデルdb/dbマウス(5週齢、雄)に2%ショウガ粉末を含む通常飼料を経口摂取させたところ、ショウガ摂取群では血糖値および血清中トリグリセリドが通常食摂取群と比較して有意に低下し、さらに耐糖能が改善することを明らかにした。今年度は、6-gingerolの糖尿病への作用機序の詳細を明らかにすることを目的として、細胞レベルでの検討を進めた。6-gingerolのアディポネクチン発現低下抑制作用の一つとして、TNF-αによるMAPKシグナル伝達の活性化阻害に着目して検討を行ったところ、TNF-αはMAPKリン酸化を誘導し、6-gingerolの前処理によりそのリン酸化は一部抑制された。MAPKは酸化ストレスにより活性化することが知られている。そこで、TNF-αによる細胞内酸化ストレスの惹起を調べたところ、TNF-α処理した細胞内では酸化ストレスの指標であるカルボニル化タンパク質の増加が認められた。一方、6-gingerolを前処理すると、TNF-αによるカルボニル化タンパク質の生成が抑制された。これらの結果から6-gingerolは、TNF-αが惹起する酸化ストレスによるMAPKシグナル伝達の活性化を抑制し、アディポネクチンの発現低下を抑制することにより抗糖尿病作用を示すことが示唆された。
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Research Products
(1 results)