2007 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分の標的受容体分子の機能制御に基づく抗アレルギーシグナルの解明
Project/Area Number |
17780111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤村 由紀 Kyushu University, 農学研究所, 研究員 (20390304)
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Keywords | 食品 / 緑茶カテキン / アレルギー / 好塩基球 / マスト細胞 / 67LR / 標的分子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究では、ヒト好塩基球(株化細胞)やマウスマスト細胞(正常細胞)を用いて、緑茶カテキン(エピガロカテキンガレートおよびそのメチル化体:EGCGおよびEGCG3"Me)の抗アレルギー活性(高親和性IgE受容体発現抑制作用およびヒスタミン放出抑制作用)について検討することを目的としている。 1)ヒトにおける抗アレルギー作用(花粉症の改善など)が確認されている"べにふうき緑茶"に多く含まれる抗アレルギー茶葉成分EGCG3Meの作用機序を明らかにするため、緑茶カテキン受容体67kDa laminin receptor(67LR)を特異的にノックダウンしたヒト好塩基球様細胞株KU812に対するカテキンの効果を検討した。その結果、EGCG3"Meの高親和性IgE受容体発現抑制作用およびヒスタミン放出抑制作用は67LR発現の低下により阻害され、さらに、EGCG3"Meの細胞表面結合性も低下することが明らかとなった。また、EGCG3"MeはERK1/2リン酸化阻害活性および細胞骨格再編成活性(ミオシン軽鎖のリン酸化阻害活性)を示したが、これらの作用は67LR発現の低下によって阻害された。以上の結果から、EGCG3"Meは細胞膜上の67LRを介したERK1/2およびミオシン軽鎖のリン酸化阻害によってその抗アレルギー作用を発揮していることが示唆された。 2)次に、マウスの骨髄細胞をサイトカイン(IL-3およびSCF)存在下で培養することで、マスト細胞へと分化させ、これら細胞に対する緑茶カテキンEGCGの抗アレルギー活性について検討を行った。その結果、EGCGは高親和性IgE受容体発現抑制活性およびヒスタミン放出抑制活性を示し、これらの作用に細胞表面結合性、ERK1/2およびミオシン軽鎖のリン酸化阻害作用が関与することが明らかとなった。以上の結果から、EGCGは、好塩基球(株化細胞)だけではなく、マスト細胞(正常細胞)に対しても抗アレルギー作用を発揮することが明らかとなった。
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