2006 Fiscal Year Annual Research Report
経口感作されたCD4陽性小腸上皮内リンパ球と全身免疫応答との相互作用の解明
Project/Area Number |
17780112
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
後藤 真生 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (30302590)
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Keywords | IEL / GALT / 経口抗原 |
Research Abstract |
OVA特異的TCR導入マウスであるDO11.10にOVAを低濃度抗原を断続的に経口投与し、2週間後のIELの機能変化についてコントロール群と各種比較を行った。昨年度では、経口抗原投与群のIELは抗原特異的な細胞増殖とIL-2産生が抑制されたが、IFN-g産生は変化がなかったことを報告した。本年度は引き続きIELの食餌感作による生理機能変化とその機構解析を行った。 <実験方法> IELsの抗原特異的応答はDO11.10由来IELに抗原提示細胞としてマイトマイシンC処理した脾臓細胞と抗原OVA 40mMを添加した。細胞増殖は培養開始70時間後にBrDU化学発光ELISAで、IL-2,IFN-g産生はそれぞれ培養24時間後、72時間後の培養上清をELISAで測定した。 DO11.10マウスの脾臓細胞をresponder、IELsをactivatorとした共培養実験は、OVA 10mMで培養し、抗原特異的増殖とサイトカイン産生についての検討を行った。 <結果と考察> IELsを脾臓細胞と共培養して抗原特異的応答の変化を観察したところ、IELsの細胞数依存的に脾臓細胞増殖の抑制とIL-2,4,10の産生抑制が見られた。この抑制能は経口感作IELsにおいて減少していた。またMACSによる分画で、IELのCD4陽性画分がIL-2とIFN-gの主産生源であること、食餌抗原感作によってそれらの産生能が低下することを見いだしたが、IFN-gの産生はCD8陽性画分においては亢進していた。よってIFN-gの産生が経口感作群で低下しないのはこの画分による補償効果が原因と考えられた また、経口感作によってIELsのCD25陽性画分が減少していた。CD4CD8両陽性画分は末梢の免疫系では制御性T細胞と考えられており、経口感作によるこれらの減少が、感作IELの抑制活性の低下につながっていると考えられた。
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