2005 Fiscal Year Annual Research Report
葉サイズの環境応答を解析するためのDNAマイクロアレイ技術の開発
Project/Area Number |
17780116
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 秀之 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70312395)
|
Keywords | 環境応答 / クロポプラ / 遺伝子発現 / 葉サイズ / サイクリン |
Research Abstract |
樹木の葉サイズの環境応答を解析するためのDNAマイクロアレイ技術を開発するために、葉サイズの調節のメルクマールとなる遺伝子のスクリーニングを行った。野外に生育するクロポプラの発達段階の異なる個葉のサイズと細胞のサイズを調べることで細胞数の変化を推定し、個葉の発達にともなう細胞分裂頻度を明らかにするとともに、サイクリンを中心とした細胞分裂に関連する遺伝子群のmRNA量を定量し、これらの遺伝子群の発現と細胞分裂頻度との関連性について明らかにした。開芽期から開葉中期および開葉中期から開葉終期にかけて細胞数の増加が大きかったことから、細胞分裂頻度はこれらの時期に高いと考えられた。サイクリン遺伝子(CycA、CycB、CycD)の発現量は、開芽期と開葉中期に多く、冬芽期・開葉最終期・開葉終了後では発現量が少なかった。細胞分裂の盛んな時期にサイクリン遺伝子のmRNA量が多かったことから、これまでのモデル植物の知見と同様に、野外で生育するクロポプラの場合にも、サイクリン遺伝子が細胞分裂の過程で重要なはたらきを持ち、細胞分裂頻度の調節に影響を与えていると考えられた。サイクリンと共に細胞分裂を支配するタンパク質群の遺伝子やサイトカイニン合成酵素遺伝子でも(CDKB、CDKI、CDK調節サブユニット、cdc48、CAK、CRなど)、開芽期と開葉中期に多く発現がみられ、サイクリン遺伝子と協調的に発現して細胞分裂の調節に影響を与えていることが示唆された。CDK調節サブユニットとサイトカイニン合成酵素では、開葉最終期と開葉終了後においても発現量が認められ、細胞分裂頻度を強く制御しているとは考えられなかった。サイトカイニン抑制酵素遺伝子は、サイクリン遺伝子群の発現量が低下したときに発現量が増加したため、細胞分裂の停止と関連していることが示唆された。よって、これらの遺伝子群は葉サイズの環境応答を解析するためのメルクマールとして利用できることが期待される。
|