2006 Fiscal Year Annual Research Report
葉サイズの環境応答を解析するためのDNAマイクロアレイ技術の開発
Project/Area Number |
17780116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 秀之 北海道大学, 大学院農学研究院, 助手 (70312395)
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Keywords | 葉サイズ / 遺伝子発現情報 / マイクロアレイ / 環境応答 |
Research Abstract |
DNAマイクロアレイ技術の基盤整備として、ブナ林冠に着生する葉で発現するmRNAを対象にノーマライズ化した完全長cDNAライブラリーを作成し、約4000クローンを単離して塩基配列を解読し、遺伝子の相同性検索により機能を推定した。この中には、細胞分裂を司る遺伝子であるサイクリンD2様遺伝子も含まれており、ブナの葉サイズの環境応答解析をDNAマイクロアレイ技術で行うための基盤整備の見通しがついた。 野外に生育するポプラを対象に、個葉のサイズ決定に関わる遺伝子の発現と植物ホルモンの関わり合いについて調べた。個葉サイズは冬芽中の胚葉から成熟葉までの個葉サイズの成長には、細胞分裂が重要なはたらきをすることがわかった。 細胞分裂が盛んな時期は開葉開始から約1週間の期間に限られ、サイクリン遺伝子群(cycA, cycB, cycD)は細胞分裂が盛んな時期に発現量が多かったため、これら3つの遺伝子の発現が細胞分裂の誘因であることを示唆した。 活性型サイトカイニン(CK)の総蛙は細胞分裂を開始する前の胚葉で最も多く、細胞分裂が盛んな時期から成熟期へと減少した。BAP浸透処理実験では、サイクリン遺伝子群のmRNA量を増加させた。このことは、開芽期に蓄積していたCKがサイクリン遺伝子の発現の誘因となることを示唆する。したがって、CKは細胞分裂の必要条件ではあるが誘因ではなかったと考えられた。アブシジン酸(ABA)量は細胞分裂を開始する前の胚葉で最も多く、細胞分裂が盛んな時期に大きく減少した。ABA浸透処理実験はサイクリン遺伝子のmRNA量を減少させた。ABAはCKの細胞分裂の促進作用に対する拮抗作用をもつことが知られている。したがって、ここでは開芽期のABAの減少が細胞分裂の誘因であると考えられた。
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